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中学校社会 歴史/大正時代
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らっそ
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/* 護憲運動と民本主義 */
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== 特徴 ==
* 辛亥革命(しんがい かくめい)で始まり、第一次世界大戦が起こった時代であり、治安維持法(ちあん いじ ほう)の施行で終わった時代だと言える。辛亥革命や第一次世界大戦によって世界中の君主制が動揺し、日本のみならず世界中で、共和制革命が起きる可能性が存在した時代である。民国元年と大正元年は同じ年(1912年)である。
* 1911年~1912年の辛亥革命によって中華民国(ちゅうかみんこく)が成立すると、薩摩(さつま)・長州(ちょうしゅう)出身者の藩閥政治(はんばつ せいじ)が崩壊し始め、尾崎行雄(おざき ゆきお)や犬養毅(いぬかい つよし)らが主導し新たに政党政治の提唱が行われた。
* 第一次世界大戦末期の1918年には米騒動(こめそうどう)が起こり、各種の労働争議も多発し、市川房枝(いちかわ ふさえ)や平塚らいてう(ひらつか らいちょう)による婦人参政権運動も起こった。
* 第一次世界大戦の結果、ロシア(1917年)とドイツ(1918年)とオーストリア(1918年)とトルコ(1922年)では帝国が倒され、共和制国家に変わった。
== 関連項目 ==
** [[中学校社会 歴史/明治時代]]
** [[中学校社会 歴史/昭和時代]]
* [[中学校社会 歴史/第一次世界大戦]]
== 中華民国での辛亥(しんがい)革命 ==
* [[中学校社会 歴史/辛亥革命]]
を参照してください。
== 第一次世界大戦 ==
* [[中学校社会 歴史/第一次世界大戦]]
を参照してください。
=== 二十一か条の要求 ===
第一次世界大戦中の1915年(大正4年)に、日本は中国政府(袁世凱の中華民国)に要求を出した。'''二十一か条の要求'''(にじゅういっかじょう の ようきゅう)という。要求の内容は、中国における、ドイツの山東半島などの権益を、日本が受け継ぐ事を認めさせる内容の要求だった。また、満州や内モンゴルでの日本の権益を認めるさせることも、日本は要求した。日本は、要求のほとんどを中華民国に認めさせた。 中国では民衆などに、日本への反対運動が起きた。
== 世界大戦による日本の好景気 ==
第一次世界大戦の被害を、日本とアメリカは、ほとんど受けなかった。またヨーロッパは戦争のため、中国などのアジア市場に手が回らず、そのため日本がアジア市場を、ほぼ独占でき、日本の輸出先がアジアにも広がった。
従来の輸出先のアメリカとの貿易も、ひきつづき好調だった。
さらに軍需や船などの需要が増え、日本の軍需産業や造船業や鉄鋼業が好景気になった。また、欧米からの輸入がとだえたため、染料・薬品などをつくる化学工業が発達した。こうして結果的に、重化学工業が、日本で発達した。
このような要因があり、日本は好景気になった。この第一次世界大戦による日本の好景気のことを、「大戦景気」(たいせん けいき)という。
商人には、うまく商売に成功して、急に大金持ちになるものが出てきた。彼らは「成金」(なりきん)と呼ばれた。{{Ruby|将棋|しょうぎ}}で「歩」の{{Ruby|駒|こま}}が裏返ると「と金」になることに例えられたのである。
特に、船と鉄に関する商売が好景気だったので、船成金(ふねなりきん)などが出てきた。
また、日本で商工業が発達したことにより、都市で働く労働者の人口が増えた。
また、水力発電がすすんだ。
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== シベリア出兵 ==
連合国は、ロシア革命が周辺国に広がることをおそれ、革命反対派に協力するため、1918年にシベリアに出兵した。イギリス・フランス・アメリカ・日本が出兵。日本は約7万人の軍隊をシベリアに出兵した。これらの出来事を'''シベリア出兵'''(シベリアしゅっぺい)という。
=== 米騒動 ===
好景気にともない、物価が上昇した。特に戦争により米の輸入が減ったこともあり、米の価格が上昇した。
またシベリア出兵のため、米の買占めも起きた。
米の価格が上昇すると、米の値上がりを期待して取引で儲け(もうけ)ようとする商人などがあらわれはじめ米の買い占めがおこり、ますます米が値上がりしていった。米が急に値上がりしたので、庶民は米が買えなくなり、また、かわりの穀物(こくもつ)も、すぐにはできないので、庶民は食べ物にこまることになった。
1918年には、富山県で主婦たちが米屋に安売りを要求して暴動がおきたことをきっかけに、全国で米の安売りをもとめる暴動が起きた。
これら一連の米に関する騒動(そうどう)を、<big>'''米騒動'''</big>(こめそうどう)と言う。
当時の内閣の寺内正毅(てらうち まさたけ)内閣は、この米騒動により議会で辞職に追い込まれた。
[[ファイル:Takashi Hara formal.jpg|thumb|200px|left|原敬(はら たかし)。 原は華族出身ではなかったので、「平民宰相」(へいみん さいしょう)と呼ばれた。]]
そして1918年に新しい内閣総理大臣が決まり、立憲政友会の総裁の<big>'''原敬'''</big>(はら たかし)が、寺内の次の内閣総理大臣になった。
原内閣は、軍部と外務大臣以外の大臣が、すべて政党出身(立憲政友会)であり、はじめての本格的な'''政党内閣'''だった。
このように、好景気にかんして、いろんなことが日本で起きた。
しかし、ヨーロッパでの世界大戦が終わり、ヨーロッパの産業が回復してくるにつれて、日本は不景気になっていった。1920年には、日本は不景気になっており、多くの会社や工場が倒産(とうさん)した。
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== 大正デモクラシー ==
=== 護憲運動と民本主義 ===
* 護憲運動(ごけん うんどう)
藩閥政治(はんばつ せいじ)を批判し、政党による政治を主張する '''護憲運動'''(ごけん うんどう) が政党から主張された。
立憲政友会の尾崎行雄(おざき ゆきお)や、立憲国民党の犬養毅(いぬかい つよし)などが護憲運動の中心になった。
そもそも日露戦争後の日本の議会の政権では、政党の立憲政友会を基盤とした内閣と、藩閥・官僚・陸海軍を基盤とした勢力とが、交互に政権を担当していた。
1912年には、陸軍が軍備増強の要求をしたが、政権を担当する立憲政友会の総裁(そうさい)の西園寺公望(さいおんじ きんもち)の西園寺内閣(さいおんじ ないかく)が財政難を理由に増強案を拒否したので(※ 日露戦争後なので財政難)、内閣に圧力をかけるために陸軍大臣が辞職して、内閣が解散するはめになった。そして、後任の首相には藩閥の支持する桂太郎(かつら たろう)がついた。しかし、民衆がこれに反発し、倒閣運動を起こし(第一次'''護憲運動'''、だいいちじ ごけん うんどう)、倒閣運動は日本各地に広がり、桂内閣は50日あまりで倒れた。
この第一次護憲運動で、尾崎行雄や犬養毅が運動の中心になったのである。
* 民本主義(みんぽん しゅぎ)
[[File:Yoshino Sakuzo 01.jpg|thumb|吉野作造(よしの さくぞう)]]
護憲運動などにより、民衆の意見を政治に反映すべきだという考えが強まった。
政治学者の'''吉野作造'''(よしの さくぞう)は、民衆の意向を議会や政治に反映させるべきだと説き、吉野は'''民本主義'''(みんぽん しゅぎ)を唱えた。「民本」(みんぽん)という語の理由は、当時の日本の主権者は天皇だったので、「民主主義」という語は天皇の主権を侵すことと考えられていたので、「民本」と言う語を吉野は用いた。
そして、この民本主義の思想によって、普通選挙を要求する運動が強まった。
* 天皇機関説(てんのうきかんせつ)
憲法学者の美濃部達吉(みのべたつきち)が唱えた説。天皇は政府の最高機関の一部として、内閣をはじめとする他の機関からの助言を得ながら統治権を行使すると説いたものである。詳しくは高校で学習する。
以上のように、大正時代には、自由主義、民主主義(デモクラシー)的な社会の風潮があった。このような大正時代の民主的な風潮のことを'''大正デモクラシー'''(たいしょうデモクラシー)という。
=== 普通選挙と政党内閣 ===
1925年の加藤高明(かとう たかあき)内閣で、'''普通選挙制'''が成立。満25才以上のすべての男子に選挙権が与えられた。納税額は、選挙権には関係なくなった。まだ、女子には選挙権は無い。
1928年には、第一回の普通選挙が行われた。
* 憲政の常道(けんせい の じょうどう)
加藤内閣以降の議会では、衆議院で多数をしめた政党の総裁が首相になることが、「'''憲政の常道'''」(けんせい の じょうどう)とされ、五・一五事件(ご・いちご じけん)の起こる1932年まで、おこなわれていった。
=== 解放運動 ===
* 女性解放運動
[[ファイル:Raicho Hiratsuka.jpg|thumb|200px|平塚らいてう(ひらつか らいちょう)]]
女性の地位の向上や、女子の参政権(さんせいけん)の獲得を目指す女性解放運動(じょせい かいほううんどう)が、'''平塚らいてう'''(ひらつか らいちょう)などにより主張された。
平塚らいてうは'''市川房枝'''(いちかわ ふさえ)と協力して、1920年に'''新婦人協会'''(しんふじん きょうかい)をつくった。
::「原始、女性は実に太陽であった。」「今、女性は月である。」(青鞜の創刊号の宣言文)
なお、青鞜社(せいとうしゃ)は文学団体。いっぽう、新婦人協会は政治団体。
しかし女性の参政権獲得は、(第二次世界大戦の終結の)1945年まで無い。
* 部落解放運動
1922年に被差別部落への部落差別の解消をうったえるための'''全国水平社'''(ぜんこく すいへいしゃ)が京都で結成した。
:「人の世に熱あれ、人類に光あれ」(水平社宣言の一部)
<div style="border:1px solid #000000;">
'''水平社宣言'''(抜粋)
:全国に散在する我が特殊部落民よ団結せよ。
::(中略)
:水平󠄁社は、かくして生れた。
:人の世に熱あれ、人間に光あれ。
※表記を現代語に修正。
</div>
そのほか、北海道では1930年に北海道アイヌ協会が設立された。
=== 軍備の縮小 ===
第一次世界大戦が終わり、しばらくの間、世界は、そこそこ平和だったこともあり、また欧米との各国での軍縮に関する条約もあり、日本では軍備が縮小された。
== 大正時代の文化 ==
=== 都市の生活 ===
[[ファイル:Ginza circa 1920.JPG|thumb|1920年頃の銀座]]
大正時代には、都市ではガス、水道、電気、電灯が普及した。(※ 水力発電が大正時代に始まったことと関連づけて、電気や電灯が大正時代に普及したことを覚える。)
工業の発展が背景にあり、そのため専門知識をもつ労働者の必要性が生じ、都市などでは、会社勤めをするサラリーマンがあらわれた。
そのため、都市の郊外も開発された。このころの新式の住居には、洋間を利用した「文化住宅」(ぶんかじゅうたく)があらわれた。郊外に、このような文化住宅が多く建築され、サラリーマン家庭が住んでいた。
また、都市と郊外をつなぐ交通手段としての必要などから、電車や鉄道が使われるようになった。バスも普及した。さらに、東京では地下鉄が、浅草・銀座などに開通した。
ターミナル駅もあらわれた。そのターミナル駅の周辺には、デパートや劇場なども、あらわれた。鉄道会社が中心となって、このような鉄道周辺やターミナル周辺の郊外の開発をすすめた。
都会にはデパートなどもできた。
食事では、パンを食べることも広がった。
洋食屋も普及し、カレーライス、オムレツ、コロッケなどの洋食も普及した。キャラメルやドロップなどの洋菓子も普及してきた。(※ 洋菓子の普及については、清水書院や帝国書院のコラムに記載されている。キャラメルなど、明治大正のころに国産の洋菓子が登場してきた。)
また、女性タイピストやバスガールや女性アナウンサー(ラジオ用)などの「職業婦人」(しょくぎょ うふじん)が表れた。男性労働者では、工場や役所などに勤めるサラリーマンが増えてきた。 (※ 発展: )また、役所などのサラリーマンの服装を通じて、背広(せびろ)が普及しはじめた。(※ 清水書院の教科書に、「背広」の記載あり)
洋服は、先に男性を中心に洋服が普及していたが、大正時代になると女子の洋服も普及してきた。バスガールなどの制服にも、洋服が採用された。また、女学校の制服に洋服(セーラー服など)が取り入れられた。(※ 洋服については、東京書籍や教育出版などに記載あり。)
=== 文化の大衆化 ===
==== 教育の普及と出版 ====
[[File:キング192501.jpg|thumb|雑誌『キング』創刊号の表紙(1925年)<br>]]
義務教育は、ほぼ完全に普及した。さらに、中学校や女学校への進学者も増えてきた。このような背景もあり、雑誌や新聞を読む人が増えた。発行部数(1日の発行部数)が100万部をこえる新聞もあらわれた。
<!-- ※ 100万部越えについては、東京書籍や帝国書院や教育出版の教科書などで紹介されてる。 -->
また、小学校・中学校の教育も見直され、自主性の尊重などの自由主義を取り入れた新型の教育が導入され、模索されていく。<!-- ※ 「大正自由教育」のこと。ワークブックで見かけた。 -->
出版では、活字本を読める人も増加したため、当時としては比較的に価格の安い1冊1円の'''円本'''(えんぽん)による文学全集シリーズ本が流行した。それからは庶民が比較的気軽に文芸に親しめるようになった。(※ それ以前は、文芸は富裕層だけが楽しめた文化であった。)
:(※ 「円本」については、帝国書院や清水書院の教科書などで紹介されている。)
同じころ、文庫本なども出版され始めた。
大衆小説が流行り、江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)も、この時代に流行った作家である。
このような大衆へのメディアの普及が、大正デモクラシーの背景にある。
:※ 余談だが、女学校の普及などもあり、洋服はますます広がっていった。女学校が制服を洋服にしたのも背景。女学校では、洋服を実習などの授業で製造していた事もある(良妻賢母の教育ではなく、当時はそれが先端的な技術だった)。
==== ラジオ放送 ====
'''ラジオ放送'''が始まったのも、大正時代である。1925年に東京、大阪でラジオ放送が始まった。(※備考. 放送開始の翌年には、東京・大坂・名古屋の放送局が合併して日本放送協会(NHK)が設立した。)
=== 未分類 ===
[[Image:Asakusa Rokku.jpg|thumb|375px|right|映画館が立ち並ぶ浅草六区の歓楽街、1937年(昭和12年)1月]]
* 映画、レコード
映画とレコードが、大正時代のころから流行をしはじめる。映画では、アメリカの映画も劇場公開された。
映画では、はじめは音声がなく、かわりに弁士がセリフや解説をしゃべる無声映画であり、当時は活動写真(かつどう しゃしん)とよばれていた。しかし1920年から、有声映画(ゆうせい えいが、いわゆる「トーキー」)が始まる。
:(※ 発展: )なお、映画館は、大都市の駅の近くに作られた場合が多かった。デパートも同様に大都市の駅の近くに作られた場合が多かった。
* モボ、モガ
アメリカ映画やジャズなどの日本での普及を通して、アメリカ的な文化が日本に流入していき、そのようなアメリカの大衆娯楽的な文化は「モダン」と言われた。(※ 帝国書院に記載あり。)
同じころ、洋服が普及してきたこともあって、私服などで洋服を着ることも「モダン」と言われた。
街中などで洋装をした若者は、洋服を着た女性なら「モガ」(「モダン・ガール」の略)と言われ、男性なら「モボ」(モダン・ボーイ)などと呼ばれた。
* その他
野球などのスポーツも流行した。テニスも、知られてきた(※ テニスの参考文献: 帝国書院の教科書)。
競馬も人気に。
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=== 学問 ===
民俗学(みんぞくがく)という、農村の庶民の文化を研究する学問を唱えた'''柳田国男'''(やなぎだくにお)が表れた。
哲学では'''西田幾多郎'''(にしだ きたろう)が『'''善の研究'''』(ぜん の けんきゅう)をしるし、ドイツ哲学に東洋の禅の思想を加えた解釈を築いた。
=== 文芸 ===
[[File:Akai-Tori first issue.jpg|thumb|150px|雑誌「赤い鳥」(あかいとり)創刊号。芥川龍之介の作品が掲載されていた。]]
[[File:Akutagawa Ryunosuke photo.jpg|thumb|150px|left|芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ]]
* プロレタリア文学
:小林多喜二(こばやし たきじ)
:『蟹工船』(かにこうせん)など、労働者の苦しい実情を描いた。
'''芥川龍之介'''(あくたがわ りゅうのすけ)、志賀直哉(しが なおや)、谷崎潤一郎(たにざき じゅんいちろう)、
* 白樺派(しらかばは)
:志賀直哉、武者小路実篤(むしゃのこうじ さねあつ)
* 新思潮派(しんしちょうは)
:芥川龍之介
児童向けの文芸雑誌『赤い鳥』には、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』(くものいと)が掲載された。
* 耽美派(たんびは)
:谷崎潤一郎
* 雑誌『赤い鳥』
児童向けの文芸雑誌『赤い鳥』には、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』(くものいと)や、新実南吉(にいみ なんきち)の『ごんぎつね』が掲載された。
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== 労働運動の高まりと取り締まり ==
=== 労働運動 ===
[[Image:The 1st Labor Day in Japan.JPG|thumb|250px|日本における第1回メーデー]]
労働組合の指導により、ストライキなどの'''労働争議'''(ろうどう そうぎ)が盛んになった。
労働運動を行っていた友愛会(ゆうあいかい)などの指導により、1920年(大正9年)には日本で最初の'''メーデー'''が開かれた。
1921年には友愛会は'''日本労働総同盟'''(にほんろうどうそうどうめい)と改名した。
農村でも、小作料引き下げなどの要求をする'''小作争議'''(こさく そうぎ)が盛んになった。
1922年には全国的な農民組合である日本農民組合が結成された。
また1922年には日本共産党がひそかに結成された。
=== 治安維持法 ===
また、1925年の男子普通選挙が実現した年と同年、暴力的な革命運動を取り締まる目的で'''治安維持法'''(ちあん いじほう)が1925年に成立した。治安維持法を制定した背景には、ソビエトなどから革命思想が日本に入ってくることを恐れたのだろう、という説が有名である。
だが、この治安維持法は、本来の目的とはちがい革命とは結びつかない労働運動をも取り締まる目的で悪用されることになり、さらに、のちの時代には政府に反対する者を弾圧するために悪用されることになる。
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== 関東大震災 ==
[[file:Desolation of Nihonbashi and Kanda after Kanto Earthquake.jpg|thumb|right|700px|京橋の第一相互ビルヂング屋上より見た東京日本橋および神田方面の、ひさんな状況(じょうきょう)]]
1923年に、関東地方で東京と横浜を中心に大地震(だいじしん)が起きた。死者・行方不明者は14万人以上であった。この地震を <big>関東大震災</big>(かんとう だいしんさい) と言う。
また、地震による被害(ひがい)で、日本の不景気が、さらにひどくなった。
なお、この地震で、「朝鮮人が反乱を、くわだてている」という内容のデマ(「デマ」とは、かんちがいした連絡や伝言などのこと。)が飛び交い、不安にかられた民衆らが、朝鮮人や社会主義者らを殺害する事件が起きたという。殺害された人数については、現代の歴史学では、定説がなく、人数は定まっていない。当事の司法省は230名あまりの朝鮮人が殺害されたと発表した。
東京に朝鮮人がいた理由は、当時は韓国併合後の時代だったので、仕事などで日本に働きに来ていた朝鮮人がいたのです。
震災後の復興では、大都市の公共の建築物は、赤レンガから鉄筋コンクリートに置き換えられていった。(帝国書院の教科書に、鉄筋コンクリートの記載あり。)
{{コラム|※ 小学校コラムなどで習う話題|
[[File:Shimpei Gotō.jpg|thumb|200px|後藤新平(ごとう しんぺい)]]
:※ 小学校の社会科でも、教育出版の教科書で、大正当時の小学校などが(※ 木造などから)鉄筋コンクリートに復興時に立て替えられた事が紹介されている。
:内務大臣などとして活躍した後藤新平(ごとう しんぺい)の業績として紹介されている。<ref>[https://kenmane.kensetsu-plaza.com/bookpdf/291/at_01.pdf (pdf) 森田康夫 著『第 4 回:小学 6 年・社会科で学ぶ「自然災害からの復旧・復興」』、建設マネジメント技術、P92]</ref>
復興のさい、火災などの延焼を防ぐため、各地に(建物以外の)公園などを設けた。このような、防火のための、公共の空き地のようなものを、「防火帯」(ぼうかたい)という。隅田公園(すみだ こうえん)は、その役割を持っている。<ref>[https://kenmane.kensetsu-plaza.com/bookpdf/291/at_01.pdf (pdf) 森田康夫 著『第 4 回:小学 6 年・社会科で学ぶ「自然災害からの復旧・復興」』、建設マネジメント技術、P92]</ref>
また、小学校に隣接する公園を増やした。これも、後藤新平などが、関東大震災の復興として主導したものである。
こうした後藤新平らの手法は、その後の災害復興でも参考にされた。1995年の阪神・淡路大震災後の神戸市の復興事業でも,この時の計画が参考とされた。<ref>[https://kenmane.kensetsu-plaza.com/bookpdf/291/at_01.pdf (pdf) 森田康夫 著『第 4 回:小学 6 年・社会科で学ぶ「自然災害からの復旧・復興」』、建設マネジメント技術、P92]</ref>
}}
[[Category:中学校歴史|たいしようしたい]]
[[カテゴリ:20世紀]]
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らっそ
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== 特徴 ==
* 辛亥革命(しんがい かくめい)で始まり、第一次世界大戦が起こった時代であり、治安維持法(ちあん いじ ほう)の施行で終わった時代だと言える。辛亥革命や第一次世界大戦によって世界中の君主制が動揺し、日本のみならず世界中で、共和制革命が起きる可能性が存在した時代である。民国元年と大正元年は同じ年(1912年)である。
* 1911年~1912年の辛亥革命によって中華民国(ちゅうかみんこく)が成立すると、薩摩(さつま)・長州(ちょうしゅう)出身者の藩閥政治(はんばつ せいじ)が崩壊し始め、尾崎行雄(おざき ゆきお)や犬養毅(いぬかい つよし)らが主導し新たに政党政治の提唱が行われた。
* 第一次世界大戦末期の1918年には米騒動(こめそうどう)が起こり、各種の労働争議も多発し、市川房枝(いちかわ ふさえ)や平塚らいてう(ひらつか らいちょう)による婦人参政権運動も起こった。
* 第一次世界大戦の結果、ロシア(1917年)とドイツ(1918年)とオーストリア(1918年)とトルコ(1922年)では帝国が倒され、共和制国家に変わった。
== 関連項目 ==
** [[中学校社会 歴史/明治時代]]
** [[中学校社会 歴史/昭和時代]]
* [[中学校社会 歴史/第一次世界大戦]]
== 中華民国での辛亥(しんがい)革命 ==
* [[中学校社会 歴史/辛亥革命]]
を参照してください。
== 第一次世界大戦 ==
* [[中学校社会 歴史/第一次世界大戦]]
を参照してください。
=== 二十一か条の要求 ===
第一次世界大戦中の1915年(大正4年)に、日本は中国政府(袁世凱の中華民国)に要求を出した。'''二十一か条の要求'''(にじゅういっかじょう の ようきゅう)という。要求の内容は、中国における、ドイツの山東半島などの権益を、日本が受け継ぐ事を認めさせる内容の要求だった。また、満州や内モンゴルでの日本の権益を認めるさせることも、日本は要求した。日本は、要求のほとんどを中華民国に認めさせた。 中国では民衆などに、日本への反対運動が起きた。
== 世界大戦による日本の好景気 ==
第一次世界大戦の被害を、日本とアメリカは、ほとんど受けなかった。またヨーロッパは戦争のため、中国などのアジア市場に手が回らず、そのため日本がアジア市場を、ほぼ独占でき、日本の輸出先がアジアにも広がった。
従来の輸出先のアメリカとの貿易も、ひきつづき好調だった。
さらに軍需や船などの需要が増え、日本の軍需産業や造船業や鉄鋼業が好景気になった。また、欧米からの輸入がとだえたため、染料・薬品などをつくる化学工業が発達した。こうして結果的に、重化学工業が、日本で発達した。
このような要因があり、日本は好景気になった。この第一次世界大戦による日本の好景気のことを、「大戦景気」(たいせん けいき)という。
商人には、うまく商売に成功して、急に大金持ちになるものが出てきた。彼らは「成金」(なりきん)と呼ばれた。{{Ruby|将棋|しょうぎ}}で「歩」の{{Ruby|駒|こま}}が裏返ると「と金」になることに例えられたのである。和田邦坊(わだ くにほう)が描いた有名な風刺画「成金栄華時代」は当時の最高紙幣である百円札(現在の価値で100万円ほど)を燃やす成金の象徴として多くの教科書に掲載される。モチーフとされているのは船成金の山本唯三郎である。
特に、船と鉄に関する商売が好景気だったので、船成金(ふねなりきん)などが出てきた。
また、日本で商工業が発達したことにより、都市で働く労働者の人口が増えた。
また、水力発電がすすんだ。
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== シベリア出兵 ==
連合国は、ロシア革命が周辺国に広がることをおそれ、革命反対派に協力するため、1918年にシベリアに出兵した。イギリス・フランス・アメリカ・日本が出兵。日本は約7万人の軍隊をシベリアに出兵した。これらの出来事を'''シベリア出兵'''(シベリアしゅっぺい)という。
=== 米騒動 ===
好景気にともない、物価が上昇した。特に戦争により米の輸入が減ったこともあり、米の価格が上昇した。
またシベリア出兵のため、米の買占めも起きた。
米の価格が上昇すると、米の値上がりを期待して取引で儲け(もうけ)ようとする商人などがあらわれはじめ米の買い占めがおこり、ますます米が値上がりしていった。米が急に値上がりしたので、庶民は米が買えなくなり、また、かわりの穀物(こくもつ)も、すぐにはできないので、庶民は食べ物にこまることになった。
1918年には、富山県で主婦たちが米屋に安売りを要求して暴動がおきたことをきっかけに、全国で米の安売りをもとめる暴動が起きた。
これら一連の米に関する騒動(そうどう)を、<big>'''米騒動'''</big>(こめそうどう)と言う。
当時の内閣の寺内正毅(てらうち まさたけ)内閣は、この米騒動により議会で辞職に追い込まれた。
[[ファイル:Takashi Hara formal.jpg|thumb|200px|left|原敬(はら たかし)。 原は華族出身ではなかったので、「平民宰相」(へいみん さいしょう)と呼ばれた。]]
そして1918年に新しい内閣総理大臣が決まり、立憲政友会の総裁の<big>'''原敬'''</big>(はら たかし)が、寺内の次の内閣総理大臣になった。
原内閣は、軍部(海軍大臣、陸軍大臣)と外務大臣以外の大臣が、当時の衆議院第一党の立憲政友会の党員であり、はじめての本格的な'''政党内閣'''だった。
このように、好景気にかんして、いろんなことが日本で起きた。
しかし、ヨーロッパでの世界大戦が終わり、ヨーロッパの産業が回復してくるにつれて、日本は不景気になっていった。1920年には、日本は不景気になっており、多くの会社や工場が倒産(とうさん)した。
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== 大正デモクラシー ==
=== 護憲運動と民本主義 ===
* 護憲運動(ごけん うんどう)
藩閥政治(はんばつ せいじ)を批判し、政党による政治を主張する '''護憲運動'''(ごけん うんどう) が政党から主張された。
立憲政友会の尾崎行雄(おざき ゆきお)や、立憲国民党の犬養毅(いぬかい つよし)などが護憲運動の中心になった。
そもそも日露戦争後の日本の議会の政権では、政党の立憲政友会を基盤とした内閣と、藩閥・官僚・陸海軍を基盤とした勢力とが、交互に政権を担当していた。
1912年には、陸軍が軍備増強の要求をしたが、政権を担当する立憲政友会の総裁(そうさい)の西園寺公望(さいおんじ きんもち)の西園寺内閣(さいおんじ ないかく)が財政難を理由に増強案を拒否したので(※ 日露戦争後なので財政難)、内閣に圧力をかけるために陸軍大臣が辞職して、内閣が解散するはめになった。そして、後任の首相には藩閥の支持する桂太郎(かつら たろう)がついた。しかし、民衆がこれに反発し、倒閣運動を起こし(第一次'''護憲運動'''、だいいちじ ごけん うんどう)、倒閣運動は日本各地に広がり、桂内閣は50日あまりで倒れた。
この第一次護憲運動で、尾崎行雄や犬養毅が運動の中心になったのである。
* 民本主義(みんぽん しゅぎ)
[[File:Yoshino Sakuzo 01.jpg|thumb|吉野作造(よしの さくぞう)]]
護憲運動などにより、民衆の意見を政治に反映すべきだという考えが強まった。
政治学者の'''吉野作造'''(よしの さくぞう)は、民衆の意向を議会や政治に反映させるべきだと説き、吉野は'''民本主義'''(みんぽん しゅぎ)を唱えた。「民本」(みんぽん)という語の理由は、当時の日本の主権者は天皇だったので、「民主主義」という語は天皇の主権を侵すことと考えられていたので、「民本」と言う語を吉野は用いた。
そして、この民本主義の思想によって、普通選挙を要求する運動が強まった。
* 天皇機関説(てんのうきかんせつ)
憲法学者の美濃部達吉(みのべたつきち)が唱えた説。天皇は政府の最高機関の一部として、内閣をはじめとする他の機関からの助言を得ながら統治権を行使すると説いたものである。詳しくは高校で学習する。
以上のように、大正時代には、自由主義、民主主義(デモクラシー)的な社会の風潮があった。このような大正時代の民主的な風潮のことを'''大正デモクラシー'''(たいしょうデモクラシー)という。
=== 普通選挙と政党内閣 ===
1925年の加藤高明(かとう たかあき)内閣で、'''普通選挙制'''が成立。満25才以上のすべての男子に選挙権が与えられた。納税額は、選挙権には関係なくなった。まだ、女子には選挙権は無い。ここは年齢と性別、納税額の規定の廃止について覚えておくべきである。
1928年には、第一回の普通選挙が行われた。
* 憲政の常道(けんせい の じょうどう)
加藤内閣以降の議会では、衆議院で多数をしめた政党の総裁が首相になることが、「'''憲政の常道'''」(けんせい の じょうどう)とされ、五・一五事件(ご・いちご じけん)の起こる1932年まで、おこなわれていった。
=== 解放運動 ===
* 女性解放運動
[[ファイル:Raicho Hiratsuka.jpg|thumb|200px|平塚らいてう(ひらつか らいちょう)]]
女性の地位の向上や、女子の参政権(さんせいけん)の獲得を目指す女性解放運動(じょせい かいほううんどう)が、'''平塚らいてう'''(ひらつか らいちょう)などにより主張された。
平塚らいてうは'''市川房枝'''(いちかわ ふさえ)と協力して、1920年に'''新婦人協会'''(しんふじん きょうかい)をつくった。
::「原始、女性は実に太陽であった。」「今、女性は月である。」(青鞜の創刊号の宣言文)
なお、青鞜社(せいとうしゃ)は文学団体。いっぽう、新婦人協会は政治団体。
しかし女性の参政権獲得は、(第二次世界大戦の終結の)1945年まで達成されなかった。
* 部落解放運動
1922年に被差別部落への部落差別の解消をうったえるための'''全国水平社'''(ぜんこく すいへいしゃ)が京都で結成した。
:「人の世に熱あれ、人類に光あれ」(水平社宣言の一部)
<div style="border:1px solid #000000;">
'''水平社宣言'''(抜粋)
:全国に散在する我が特殊部落民よ団結せよ。
::(中略)
:水平󠄁社は、かくして生れた。
:人の世に熱あれ、人間に光あれ。
※表記を現代語に修正。
</div>
そのほか、北海道では1930年に北海道アイヌ協会が設立された。
=== 軍備の縮小 ===
第一次世界大戦が終わり、しばらくの間、世界は比較的平和だったこともあり、また欧米との各国での軍縮に関する条約もあり、日本では軍備が縮小された。
== 大正時代の文化 ==
=== 都市の生活 ===
[[ファイル:Ginza circa 1920.JPG|thumb|1920年頃の銀座]]
大正時代には、都市ではガス、水道、電気、電灯が普及した。(※ 水力発電が大正時代に始まったことと関連づけて、電気や電灯が大正時代に普及したことを覚える。)
工業の発展が背景にあり、そのため専門知識をもつ労働者の必要性が生じ、都市などでは、会社勤めをするサラリーマンがあらわれた。
そのため、都市の郊外も開発された。このころの新式の住居には、洋間を利用した「文化住宅」(ぶんかじゅうたく)があらわれた。郊外に、このような文化住宅が多く建築され、サラリーマン家庭が住んでいた。
また、都市と郊外をつなぐ交通手段としての必要などから、電車や鉄道が使われるようになった。バスも普及した。さらに、東京では地下鉄が、浅草・銀座などに開通した。
ターミナル駅もあらわれた。そのターミナル駅の周辺には、デパートや劇場なども、あらわれた。鉄道会社が中心となって、このような鉄道周辺やターミナル周辺の郊外の開発をすすめた。
都会にはデパートなどもできた。
食事では、パンを食べることも広がった。
洋食屋も普及し、カレーライス、オムレツ、コロッケなどの洋食も普及した。キャラメルやドロップなどの洋菓子も普及してきた。(※ 洋菓子の普及については、清水書院や帝国書院のコラムに記載されている。キャラメルなど、明治大正のころに国産の洋菓子が登場してきた。)
また、女性タイピストやバスガールや女性アナウンサー(ラジオ用)などの「職業婦人」(しょくぎょ うふじん)が表れた。男性労働者では、工場や役所などに勤めるサラリーマンが増えてきた。 (※ 発展: )また、役所などのサラリーマンの服装を通じて、背広(せびろ)が普及しはじめた。(※ 清水書院の教科書に、「背広」の記載あり)
洋服は、先に男性を中心に洋服が普及していたが、大正時代になると女子の洋服も普及してきた。バスガールなどの制服にも、洋服が採用された。また、女学校の制服に洋服(セーラー服など)が取り入れられた。(※ 洋服については、東京書籍や教育出版などに記載あり。)
=== 文化の大衆化 ===
==== 教育の普及と出版 ====
[[File:キング192501.jpg|thumb|雑誌『キング』創刊号の表紙(1925年)<br>]]
義務教育は、ほぼ完全に普及した。さらに、中学校や女学校への進学者も増えてきた。このような背景もあり、雑誌や新聞を読む人が増えた。発行部数(1日の発行部数)が100万部をこえる新聞もあらわれた。
<!-- ※ 100万部越えについては、東京書籍や帝国書院や教育出版の教科書などで紹介されてる。 -->
また、小学校・中学校の教育も見直され、自主性の尊重などの自由主義を取り入れた新型の教育が導入され、模索されていく。<!-- ※ 「大正自由教育」のこと。ワークブックで見かけた。 -->
出版では、活字本を読める人も増加したため、当時としては比較的に価格の安い1冊1円の'''円本'''(えんぽん)による文学全集シリーズ本が流行した。それからは庶民が比較的気軽に文芸に親しめるようになった。(※ それ以前は、文芸は富裕層だけが楽しめた文化であった。)
:(※ 「円本」については、帝国書院や清水書院の教科書などで紹介されている。)
同じころ、文庫本なども出版され始めた。
大衆小説が流行り、江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)も、この時代に流行った作家である。
このような大衆へのメディアの普及が、大正デモクラシーの背景にある。
:※ 余談だが、女学校の普及などもあり、洋服はますます広がっていった。女学校が制服を洋服にしたのも背景。女学校では、洋服を実習などの授業で製造していた事もある(良妻賢母の教育ではなく、当時はそれが先端的な技術だった)。
==== ラジオ放送 ====
'''ラジオ放送'''が始まったのも、大正時代である。1925年に東京、大阪でラジオ放送が始まった。また、ラジオ機器の見た目も現在のものとはかなり異なる点に注意。(※備考. 放送開始の翌年には、東京・大坂・名古屋の放送局が合併して日本放送協会(NHK)が設立した。)
=== 未分類 ===
[[Image:Asakusa Rokku.jpg|thumb|375px|right|映画館が立ち並ぶ浅草六区の歓楽街、1937年(昭和12年)1月]]
* 映画、レコード
映画とレコードが、大正時代のころから流行をしはじめる。映画では、アメリカの映画も劇場公開された。
映画では、はじめは音声がなく、かわりに弁士がセリフや解説をしゃべる無声映画であり、当時は活動写真(かつどう しゃしん)とよばれていた。しかし1920年から、有声映画(ゆうせい えいが、いわゆる「トーキー」)が始まる。
:(※ 発展: )なお、映画館は、大都市の駅の近くに作られた場合が多かった。デパートも同様に大都市の駅の近くに作られた場合が多かった。
* モボ、モガ
アメリカ映画やジャズなどの日本での普及を通して、アメリカ的な文化が日本に流入していき、そのようなアメリカの大衆娯楽的な文化は「モダン」と言われた。(※ 帝国書院に記載あり。)
同じころ、洋服が普及してきたこともあって、私服などで洋服を着ることも「モダン」と言われた。
街中などで洋装をした若者は、洋服を着た女性なら「モガ」(「モダン・ガール」の略)と言われ、男性なら「モボ」(モダン・ボーイ)などと呼ばれた。
* その他
野球などのスポーツも流行した。テニスも、知られてきた(※ テニスの参考文献: 帝国書院の教科書)。
競馬も人気に。
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=== 学問 ===
民俗学(みんぞくがく)という、農村の庶民の文化を研究する学問を唱えた'''柳田国男'''(やなぎだくにお)が表れた。
哲学では'''西田幾多郎'''(にしだ きたろう)が『'''善の研究'''』(ぜん の けんきゅう)をしるし、ドイツ哲学に東洋の禅の思想を加えた解釈を築いた。
=== 文芸 ===
[[File:Akai-Tori first issue.jpg|thumb|150px|雑誌「赤い鳥」(あかいとり)創刊号。芥川龍之介の作品が掲載されていた。]]
[[File:Akutagawa Ryunosuke photo.jpg|thumb|150px|left|芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ]]
* プロレタリア文学
:小林多喜二(こばやし たきじ)
:『蟹工船』(かにこうせん)など、労働者の苦しい実情を描いた。
'''芥川龍之介'''(あくたがわ りゅうのすけ)、志賀直哉(しが なおや)、谷崎潤一郎(たにざき じゅんいちろう)、
* 白樺派(しらかばは)
:志賀直哉、武者小路実篤(むしゃのこうじ さねあつ)
* 新思潮派(しんしちょうは)
:芥川龍之介
:羅生門など古典を題材にした短編小説を多く表す。代表作である羅生門は覚えておこう。
児童向けの文芸雑誌『赤い鳥』には、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』(くものいと)が掲載された。
* 耽美派(たんびは)
:谷崎潤一郎
* 雑誌『赤い鳥』
児童向けの文芸雑誌『赤い鳥』には、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』(くものいと)や、新実南吉(にいみ なんきち)の『ごんぎつね』が掲載された。
{{clear}}
== 労働運動の高まりと取り締まり ==
=== 労働運動 ===
[[Image:The 1st Labor Day in Japan.JPG|thumb|250px|日本における第1回メーデー]]
労働組合の指導により、ストライキなどの'''労働争議'''(ろうどう そうぎ)が盛んになった。
労働運動を行っていた友愛会(ゆうあいかい)などの指導により、1920年(大正9年)には日本で最初の'''メーデー'''が開かれた。
1921年には友愛会は'''日本労働総同盟'''(にほんろうどうそうどうめい)と改名した。
農村でも、小作料引き下げなどの要求をする'''小作争議'''(こさく そうぎ)が盛んになった。
1922年には全国的な農民組合である日本農民組合が結成された。
また1922年には日本共産党がひそかに結成された。
=== 治安維持法 ===
また、1925年の男子普通選挙が実現した年と同年、暴力的な革命運動を取り締まる目的で'''治安維持法'''(ちあん いじほう)が1925年に成立した。治安維持法を制定した背景には、ソビエト連邦などから社会主義、共産主義の革命思想を恐れたのだろう、という説が有力である。
だが、この治安維持法は、本来の目的とはちがい革命とは結びつかない労働運動や社会主義者を取り締まる目的でも悪用されることになり、さらに、のちの時代には政府に反対する者を弾圧するために悪用されることになる。
{{clear}}
== 関東大震災 ==
[[file:Desolation of Nihonbashi and Kanda after Kanto Earthquake.jpg|thumb|right|700px|京橋の第一相互ビルヂング屋上より見た東京日本橋および神田方面の、ひさんな状況(じょうきょう)]]
1923年に、関東地方で東京と横浜を中心に大地震(だいじしん)が起きた。死者・行方不明者は14万人以上であった。この地震を <big>関東大震災</big>(かんとう だいしんさい) と言う。
また、地震による被害(ひがい)で、日本の不景気が、さらにひどくなった。
なお、この地震で、「朝鮮人が反乱を、くわだてている」という内容のデマ(「デマ」とは、かんちがいした連絡や伝言などのこと。)が飛び交い、不安にかられた民衆らが、朝鮮人や社会主義者らを殺害する事件が起きたという。殺害された人数については、現代の歴史学では、定説がなく、人数は定まっていない。当事の司法省は230名あまりの朝鮮人が殺害されたと発表した。
東京に朝鮮人がいた理由は、当時は韓国併合後の時代だったので、仕事などで日本に働きに来ていた朝鮮人がいたのです。
震災後の復興では、大都市の公共の建築物は、赤レンガから鉄筋コンクリートに置き換えられていった。(帝国書院の教科書に、鉄筋コンクリートの記載あり。)
{{コラム|※ 小学校コラムなどで習う話題|
[[File:Shimpei Gotō.jpg|thumb|200px|後藤新平(ごとう しんぺい)]]
:※ 小学校の社会科でも、教育出版の教科書で、大正当時の小学校などが(※ 木造などから)鉄筋コンクリートに復興時に立て替えられた事が紹介されている。
:内務大臣などとして活躍した後藤新平(ごとう しんぺい)の業績として紹介されている。<ref>[https://kenmane.kensetsu-plaza.com/bookpdf/291/at_01.pdf (pdf) 森田康夫 著『第 4 回:小学 6 年・社会科で学ぶ「自然災害からの復旧・復興」』、建設マネジメント技術、P92]</ref>
復興のさい、火災などの延焼を防ぐため、各地に(建物以外の)公園などを設けた。このような、防火のための、公共の空き地のようなものを、「防火帯」(ぼうかたい)という。隅田公園(すみだ こうえん)は、その役割を持っている。<ref>[https://kenmane.kensetsu-plaza.com/bookpdf/291/at_01.pdf (pdf) 森田康夫 著『第 4 回:小学 6 年・社会科で学ぶ「自然災害からの復旧・復興」』、建設マネジメント技術、P92]</ref>
また、小学校に隣接する公園を増やした。これも、後藤新平などが、関東大震災の復興として主導したものである。
こうした後藤新平らの手法は、その後の災害復興でも参考にされた。1995年の阪神・淡路大震災後の神戸市の復興事業でも,この時の計画が参考とされた。<ref>[https://kenmane.kensetsu-plaza.com/bookpdf/291/at_01.pdf (pdf) 森田康夫 著『第 4 回:小学 6 年・社会科で学ぶ「自然災害からの復旧・復興」』、建設マネジメント技術、P92]</ref>
}}
[[Category:中学校歴史|たいしようしたい]]
[[カテゴリ:20世紀]]
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高校化学 酸素を含む脂肪族化合物
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== アルコール ==
炭化水素の水素をヒドロキシ基 -OHで置換した構造の化合物を'''アルコール'''という。
{|border=1 cellspacing=0 align=right text-align=center style="text-align:center"
|- style="background:silver"
! 示性式 !! 名称 !! 構造式
|-
| CH{{sub|3}}OH || '''メタノール''' || [[File:Methanol Lewis.svg|100px|メタノール]]
|-
| C{{sub|2}}H{{sub|5}}OH || '''エタノール''' || [[File:Ethanol-structure.png|150px|エタノール]]
|}
アルコールは分子中のヒドロキシ基の個数や結合の仕方による、いくつかの分類がある。
アルコール分子中のヒドロキシ基の個数を'''価数'''という。分子中のヒドロキシ基が1個のものを1価アルコール、2個のものを2価アルコールなどという。2価以上のものを多価アルコールという。
{|border=1 cellspacing=0 align=center text-align=center style="text-align:center"
|- style="background:silver"
! 分類 !! 名称 !! 化学式 !! 融点 !! 沸点
|-
| 一価アルコール || メタノール<br />エタノール<br />1-プロパノール<br />1-ブタノール || CH{{sub|3}}-OH<br />CH{{sub|3}}-CH{{sub|2}}-OH<br />CH{{sub|3}}-CH{{sub|2}}-CH{{sub|2}}-OH<br />CH{{sub|3}}-CH{{sub|2}}-CH{{sub|2}}-CH{{sub|2}}-OH<br /> || -98℃<br />-115℃<br />-127℃<br />-90℃ || 65℃<br />78℃<br />97℃<br />117℃
|-
| 二価アルコール || エチレングリコール<br />(1,2-エタンジオール) || [[File:Glikol.svg|100px|エチレングリコール]] || -13℃ || 198℃
|-
| 三価アルコール || グリセリン<br />(1,2,3-プロパントリオール)|| [[File:Glycerin - Glycerol.svg|150px|グリセリン]] || 18℃ || 290℃(分解)
|-
|}
ヒドロキシ基に結合している炭素原子に結合している炭素原子の個数が、1または0個ものを'''第一級アルコール'''、2個のものを'''第二級アルコール'''、3個のものを'''第三級アルコール'''という。
{|border=1 cellspacing=0 align=center text-align=center style="text-align:center"
|- style="background:silver"
!分類!!構造!!化合物の例!!沸点
|-
|第一級<br />アルコール||[[File:第一級アルコール.svg|150px|第一級アルコール]]||1-ブタノール<br />2-メチル-1-プロパノール||117℃<br />118℃
|-
|第二級<br />アルコール||[[File:第二級アルコール.svg|150px|第二級アルコール]]||[[File:2ブタノール.svg|200px|2-ブタノール]]<br />2-ブタノール||99℃
|-
|第三級<br />アルコール||[[File:第三級アルコール.svg|150px|第三級アルコール]]||[[File:Tert bütil alkol ücüncül bir alkol.svg|150px|2-メチル-2-プロパノール]]<br />2-メチル-2-プロパノール||83℃
|}
二クロム酸カリウムなどで、第一級アルコールと第二級アルコールを酸化すると、それぞれアルデヒド、ケトンを生じ、アルデヒドをさらに酸化するとカルボン酸になる。第三級アルコールは酸化されにくい。
=== アルコールの性質 ===
==== 水溶性 ====
アルコールは親水性のヒドロキシ基と疎水性の炭化水素基をもつ。そのため、エタノールなどの低級アルコールや、グリセリンのような-OH基の多いアルコールは、水に溶けやすい。
炭素数の割合が多くなると炭化水素としての性質が強くなり、水に溶けにくくなる。たとえば、炭素数が4の1-ブタノールや炭素数が5の1-ペンタノールは水に難溶である。
また、アルコールは水に溶けても電離しないため中性である。
==== 融点と沸点 ====
アルコールのOH基によって、水素結合が形成されるため、分子量が同程度の炭化水素と比べて、沸点や融点が高い。
=== アルコールの反応 ===
==== ナトリウムとの反応 ====
アルコールに金属ナトリウムNaを加えると、水素が発生し、ナトリウムアルコキシド <chem>R-ONa</chem> を生じる。
* <chem>2R-OH + 2Na -> 2R-ONa + H2 ^</chem>
* <chem>2CH3OH + 2Na -> 2CH3ONa + H2 ^</chem>
* <chem>2C2H5OH + 2Na -> 2C2H5ONa + H2 ^</chem>(エタノールの場合)
なお、<chem>CH3ONa</chem> はナトリウムメトキシド、<chem>C2H5ONa </chem> は ナトリウムエトキシド と言う。
炭素数が多いほどナトリウムと穏やかに反応するようになる。この反応は有機化合物中のヒドロキシ基の有無を調べる一つの方法である。
ナトリウムアルコキシド <chem>R-ONa</chem> に水を加えると、加水分解して水酸化ナトリウムを生じるため塩基性を示す。
: <chem>R-ONa + H2O -> R-OH + NaOH</chem>
==== 酸化反応 ====
* アルコールに二クロム酸カリウムなどの酸化剤を用いて酸化させた場合
:第一級アルコールを酸化させると、まずアルデヒドになり、アルデヒドがさらに酸化すると、カルボン酸になる。
:第二級アルコールは、酸化されるとケトンになる。
:第三級アルコールは、酸化されにくい。
:
第一級アルコール [[File:第一級アルコール.svg|100px|第一級アルコール]] <chem> -> </chem> アルデヒド[[File:Aldehyd - Aldehyde.svg|100px|]] <chem> -> </chem> カルボン酸[[File:Carboxylic-acid.svg|100px|]]
第二級アルコール [[File:第二級アルコール.svg|100px|第二級アルコール]] <chem> -> </chem> ケトン[[File:Keton - Ketone.svg|100px|]]
==== 脱水反応 ====
濃硫酸 <chem>H2SO4</chem> を加熱して約130℃にしたものに、アルコールを加えると、アルコール分子内での脱水反応が起きたり、もしくはアルコールの2分子間で脱水反応が起きて、エーテルやアルケンを生じる。
具体的には、エタノール <chem>C2H5OH</chem> と濃硫酸 <chem>H2SO4</chem> とを混合し、約170℃に加熱すると分子内脱水によりエチレン <chem>H2C = CH2</chem> を生じる。
:<chem>C2H5OH -> C2H4 + H2O</chem>
一方、エタノールと濃硫酸を混合したものを約130℃に加熱すると、分子間脱水してジエチルエーテルを生じる。
:<chem>2C2H5OH -> C2H5OC2H5 + H2O</chem>
なお、このジエチルエーテルの生成のように、2つの分子間から水などの小さな分子がとれて1つの分子になることを、縮合という。
=== メタノール ===
'''メタノール''' CH{{sub|3}}OH は、無色透明の液体である。
人体には有毒で、飲むと失明の恐れがある。水と混和する。
メタノールの製法は、触媒に酸化亜鉛 ZnO と <chem>Cr2O3</chem> を用いて、一酸化炭素 CO と水素 H<sub>2</sub> とを反応させる。
:<chem>CO + 2H2 -> CH3OH</chem>
メタノールは、溶媒や燃料のほか、薬品の原料や化学製品の原料などとして、用いられている.
二クロム酸カリウム水溶液などによりメタノールは酸化され、ホルムアルデヒドとなる。
: <math>\mathrm{CH_3OH} \xrightarrow{-2 \mathrm H (*)} \mathrm{HCHO}</math>
<br />
:(*)水素原子が分子から奪われる酸化反応である。
=== エタノール ===
'''エタノール''' C{{sub|2}}H{{sub|5}}OH は無色透明の液体である。酒類に含まれるが、人体に有害である。グルコースなどの水溶液に酵母を加えて発酵させて、エタノールが得られる。
:発酵: <chem>C6H12O6 -> 2C2H5OH + 2CO2</chem>
工業的にはエチレンに水分子を付加することにより合成される。
:合成: <chem>CH2=CH2 + H2O -> CH3CH2OH</chem>
濃硫酸には脱水作用があるため、エタノールと濃硫酸とを混合して加熱すると脱水反応がおこる。しかし、温度により異なった脱水反応がおこり、異なる物質が生成する。130℃程度で反応させるとエタノール2分子から水が取り除かれてジエチルエーテルを生じる。
: <chem>2C2H5OH -> C2H5-O-C2H5 + H2O</chem>
一方、160℃程度で反応させるとエタノール1分子の中で水が取り除かれ、エチレンを生じる。
: <chem>C2H5OH -> CH2=CH2 + H2O</chem>
=== 多価アルコール ===
==== エチレングリコール ====
[[File:Glikol.svg|100px|thumb|エチレングリコール]]
'''エチレングリコール'''(1,2エタンジオール)は、2価アルコールであり、無色で粘性が高い、不揮発性の液体である。水と混和する。
自動車のラジエーターの不凍液として用いられる。また、合成繊維や合成樹脂の原料としてもエチレングリコールは用いられる。
エチレングリコールには甘味があるが、毒性がある。
[[File:Ethylenoxide-2.svg|thumb|エチレンオキシド]]
エチレンを(ある触媒のもと)酸素と反応させ、エチレンオキシドという物質をつくる。
そして、そのエチレンオキシドを(酸によって)加水分解させ、エチレングリコールをつくれる。
==== グリセリン ====
[[File:Glycerol structure.svg|thumb|グリセリン]]
1,2,3-プロパントリオール(グリセリン)は、3価アルコールであり、無色で粘性が高い、不揮発性の液体である。水とは任意の割合で溶け合う。無毒であり甘味があるので、化粧品や医薬品の原料などに用いられる。火薬(ニトログリセリン)の原料や合成樹脂の原料ともなる。
動物の体内に存在する油脂は、グリセリンと脂肪酸のエステルである。
=== ザイツェフ則 ===
[[ファイル:Zaitsev's rule illust for beginner student jp.svg|中央|サムネイル|700x700ピクセル|ザイツェフ則]] アルコールの脱水反応によって、アルケンが生成されるとき、二種類の生成物が考えられるが、このうち、元々結合している水素原子が少ないほうの炭素原子から水素原子を取り除いた構造の生成物の方が多く得られる。この経験則をザイツェフ則という。
マルコフニコフ則と合わせて、標語的に、水素を持てるものは更に与えられ(マルコフニコフ則)、持っていないものは持っているものまでも取り上げられる(ザイツェフ則)と考えると覚えやすい。
== エーテル ==
酸素原子に2個の炭化水素基が結合した構造 <chem>R-O-R'</chem> をもつ化合物を'''エーテル'''という。エーテル中での-O-の結合を、エーテル結合という。
{| class="wikitable" style="text-align:center; float: right;"
!示性式
!名称
!構造式
!沸点
|-
|CH{{sub|3}}-O-CH{{sub|3}}
|ジメチルエーテル
|[[ファイル:Dimethyl-ether-2D-flat.png|100x100ピクセル|ジメチルエーテル]]
| -25℃
|-
|C{{sub|2}}H{{sub|5}}-O-C{{sub|2}}H{{sub|5}}
|ジエチルエーテル
|[[ファイル:Diethyl-ether-2D-flat.png|150x150ピクセル|ジエチルエーテル]]
|34℃
|-
|C{{sub|2}}H{{sub|5}}-O-C{{sub|}}H{{sub|3}}
|エチルメチルエーテル
|[[File:Ethylmethylether Structural Formulae.png|150x150ピクセル]]
|7℃
|}
=== エーテルの性質 ===
エーテルは1価アルコールと構造異性体の関係にある。たとえばジメチルエーテルとエタノールは互いに異性体である。
エーテルはヒドロキシ基 -OH を持たないため、水に溶けにくく、水素結合をしないため、エーテルの沸点・融点はアルコールよりも低い。 たとえば、沸点はジメチルエーテル CH<sub>3</sub>-O-CH<sub>3</sub> の融点は -145℃であり沸点は -25℃ であり、分子量が同程度のエタノール(沸点78 ℃)とくらべて、かなり低い。
また、エーテルは、ナトリウムとも反応しない。
アルコールを濃硫酸と混合して脱水縮合させることでエーテルが生成する。
=== ジエチルエーテル ===
ジエチルエーテルは無色で揮発性の液体であり、引火しやすいため取り扱いに注意が必要である。麻酔性がある。 ジエチルエーテルは水には溶けにくく、有機物をよく溶かすので、有機溶媒としても用いられる。油脂などの有機化合物を抽出する際の溶媒として、ジエチルエーテルが用いられる。
エタノールに濃硫酸を加えて130~140°Cで加熱するとジエチルエーテルが生成する。
単にエーテルというと、ジエチルエーテルを指す。
=== エーテルの合成 ===
ナトリウムアルコキシド <chem>R-ONa</chem> とハロゲン化炭化水素 <chem>R'X</chem> の縮合によってエーテルが生成する。
<chem>R-ONa + R'X -> R-O-R' + NaX</chem>
== カルボニル化合物 ==
原子団[[ファイル:カルボニル基.svg|100x100ピクセル|カルボニル基]]をカルボニル基といい、カルボニル基をもつ化合物のことをカルボニル化合物という。
ホルミル基 -CHO をもつ化合物を'''アルデヒド'''という。
ホルミル基はカルボニル基の一方が水素である構造をしている。
[[ファイル:Aldehyde.png|サムネイル|アルデヒドの一般形]]
また、カルボニル基に2個の炭化水素基が結合した化合物 R -CO- R’ のことを'''ケトン'''という。
カルボニル化合物には、アルデヒド、ケトン、カルボン酸などがある。
{{-}}
== アルデヒド ==
{| style="text-align:center" cellspacing="0" border="1" align="right"
!示性式
!名称
!構造式
|-
|HCHO
|'''ホルムアルデヒド'''
|[[ファイル:Formaldehyde-2D.svg|100x100ピクセル|ホルムアルデヒド]]
|-
|CH{{sub|3}}CHO
|'''アセトアルデヒド'''
|[[ファイル:Acetaldehyde-2D-flat.svg|130x130ピクセル|アセトアルデヒド]]
|}
=== 性質 ===
[[高校化学 酸素を含む脂肪族化合物#アルコール|アルコール]]で学んだように、第一級アルコールを酸化するとアルデヒドが得られ、アルデヒドを酸化するとカルボン酸になる。
* 還元性
ホルミル基には'''還元性'''があり、他の物質を還元して自らは酸化されやすい。つまりアルデヒドはカルボン酸になりやすい。
: <math>\mathrm{R-CHO} \xrightarrow{+ \mathrm O (*)} \mathrm{R-COOH}</math>
:: (*) 酸素を受け取る酸化反応が起こる。
そのため、アルデヒドは'''銀鏡反応'''や'''フェーリング反応'''といった還元性の有無を調べる反応により検出することができる。
* 水溶性
分子量の小さいアルデヒドやケトンは、水に溶けやすい。
=== 銀鏡反応 ===
[[ファイル:MiroirArgent.JPG|サムネイル|250x250ピクセル|銀鏡反応]]
アンモニア性硝酸銀水溶液にアルデヒドを加えて加熱すると、銀イオン Ag<sup>+</sup> が還元されて、銀 Ag が析出する。これを'''{{Ruby|銀鏡|ぎんきょう}}反応'''といい、アルデヒドのような還元性のある物質を検出することに利用される。 試験管に銀が付着して鏡のようになることから、銀鏡という名前が付いている。
銀鏡反応は、以下のような反応である。 このアンモニア性硝酸銀水溶液にアルデヒドなどの還元性のある物質を加え、湯浴で加熱すると、ジアンミン銀(I)イオンが還元されて単体の銀が析出し、試験管の壁に付着する。アルデヒド自身は酸化されてカルボン酸となる。
: <chem>RCHO + 2[Ag(NH3)2]+ + 3OH- -> RCOOH + 4NH3 + H2O + 2Ag v</chem>
=== フェーリング反応 ===
[[ファイル:Kupfer(II)-Ionen1.jpg|サムネイル|209x209ピクセル|左から硫酸銅(II)水溶液、テトラアンミン銅(II)イオン Cu(NH<sub>3</sub>)<sub>4</sub>の溶液(フェーリング液もこれと似た色)、フェロシアン化銅(II)Cu<sub>2</sub>[Fe(CN)<sub>6</sub>](フェーリング反応後の酸化銅(Ⅰ)沈殿と似た色の沈殿)(注: フェーリング反応ではありませんが、似た色をしているので参考に掲載しています)]]
'''フェーリング液'''と呼ばれる液体にアルデヒドを加えて加熱すると、フェーリング液中の銅(II)イオンCu<sup>2+</sup>が還元されて、酸化銅(I) Cu<sub>2</sub>Oの赤色沈殿が生成することから、アルデヒドが還元性をもつことを確認することができる。この反応をフェーリング反応という。なお、アルデヒド自身はこのフェーリング反応で酸化されてカルボン酸となる。
* 参考
: フェーリング液とは、硫酸銅(Ⅱ)、酒石酸ナトリウムカリウムと、水酸化ナトリウムの混合水溶液である。硫酸銅(Ⅱ)水溶液をA液、酒石酸ナトリウムカリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液をB液として、A液とB液とを使用直前に混合して調整する。これは、フェーリング液が不安定で、長期間保存することができないためである。A液は硫酸銅(Ⅱ)水溶液なので青色をしているが、これにB液を加え混合したフェーリング液は、銅(Ⅱ)の錯イオンを生じて深青色の水溶液となる。
=== ホルムアルデヒド ===
[[ファイル:Formaldehyde-2D.svg|サムネイル|100x100ピクセル|ホルムアルデヒド]]
'''ホルムアルデヒド''' HCHO はもっとも単純な構造のアルデヒドであり、水に溶けやすい無色刺激臭の気体である。ホルマリンはホルムアルデヒドの約37%水溶液であり、動物標本の保存溶液や、消毒剤として用いられる。
ホルムアルデヒドはメタノールを酸化することで得られる。銅線を加熱して酸化銅(Ⅱ)とし、これを試験管に入れたメタノールに近づけると、メタノールが酸化されてホルムアルデヒドを生じる。
: <chem>CH3OH + CuO -> HCHO + H2O + Cu</chem>
なお、銅線を加熱して酸化銅にする方程式は
: <chem>2Cu2 + O -> 2CuO</chem>
なので、これとまとめて、反応式を
: <chem>2CH3OH + O2 -> 2HCHO + 2H2O</chem>
と書く場合もある。
なお、ホルムアルデヒドがさらに酸化されると、ギ酸になる。ギ酸も条件によってはさらに酸化されて二酸化炭素と水を生じる。
=== アセトアルデヒド ===
[[ファイル:Acetaldehyde-2D-flat.svg|サムネイル|130x130ピクセル|アセトアルデヒド]]
'''アセトアルデヒド''' CH{{sub|3}}CHO は分子中に炭素が2つあるアルデヒドであり、水や有機溶媒によく溶ける。
実験室ではアセトアルデヒドは、エタノールを酸化することで得られる。エタノールに酸化剤として硫酸酸性の二クロム酸カリウム K<sub>2</sub>Cr<sub>2</sub>O<sub>7</sub> 水溶液を加え加熱すると、アセトアルデヒドが生じる。
: <chem>3C2H5OH + Cr2O7^2- + 8H+ -> 3CH3CHO + 2Cr3+ + 7H2O</chem>
また、工業的にはアセトアルデヒドの製法は、塩化パラジウム PdCl<sub>2</sub> と塩化銅 CuCl<sub>2</sub> を触媒に用いて、酸素によってエチレンを酸化することでも得られる。
: <chem>2CH2=CH2 + O2 -> 2CH3CHO</chem>
アセトアルデヒドは、酢酸の原料や防腐剤として用いられる。
アセトアルデヒドがさらに酸化されると、酢酸になる。
: <chem>CH3CHO -> CH3COOH</chem><br />
=== 飲酒とアセトアルデヒド ===
酒は、エタノールの水溶液である。ヒトがエタノールを摂取すると、腸などからエタノールが吸収され、血管を通って肝臓に運ばれる。肝臓では酵素によってアセトアルデヒド CH<sub>3</sub>CHO に分解される。アセトアルデヒドはさらに別の酵素によって、酢酸 CH<sub>3</sub>COOH に変化し、最終的に二酸化炭素と水に分解される。
エタノールは中枢神経系を抑制する作用があり、判断力や認知機能、運動能力を低下させる。エタノールの代謝によって生じるアセトアルデヒドにも強い毒性があり、頭痛や吐き気を引き起こすほか、発がん性がありさまざまながんのリスクを高める。
二十歳未満の人は、エタノールによる悪影響を受けやすいため、日本では20歳未満の者の飲酒は禁止されている。しかし、20歳以上になっても飲酒による害がなくなるわけではなく、たとえ少量の摂取であっても人体に害をなすことが知られている。そのため健康のことを考えるならば、一切の飲酒を控えることが望ましい。
=== 発展 カルボニル基の極性 ===
カルボニル基には極性があり、Cが正の電荷δ<sup>+</sup>を、Oがδ<sup>ー</sup>の負の電荷を帯びている。
二重結合を介して、
: <big><big>C</big><sup>δ<sup>+</sup></sup> <big>=</big> <big>O</big><sup>δ<sup>ー</sup></sup></big>
のように分極している。
また、カルボニル基をもつ簡単な分子は水に溶けやすいのは、カルボニル基の酸素原子が溶液の水素分子と水素結合をするためである。つまり、C=Oは親水基である。
[[ファイル:Ketone-general.svg|サムネイル|ケトンの一般式]]
== ケトン ==
カルボニル基に2つの炭化水素基が結合した有機化合物を'''ケトン'''と呼ぶ。右には主なケトンを示す。
{| style="text-align:center" cellspacing="0" border="1" align="right"
!示性式
!名称
!構造式
|-
|CH{{sub|3}}COCH{{sub|3}}
|'''アセトン'''
|[[ファイル:Aceton_(chemical_structure).svg|150x150ピクセル|アセトン]]
|}
{{-}}
=== 一般的な性質 ===
第二級アルコールを酸化するとケトンが得られる。逆に、ケトンを還元すると、第二級アルコールになる。
ケトンはアルデヒドと同様にC=Oの二重結合を持つ。ケトンはアルデヒドと異なり、ケトンは還元性を持たない。そのため、ケトンは銀鏡反応やフェーリング反応を起こさない。
また、アルデヒドはさらに酸化されてカルボン酸となるが、ケトンは酸化されにくい。
=== アセトン ===
'''アセトン''' CH{{sub|3}}COCH{{sub|3}} はもっとも単純な構造のケトンである。アセトンは無色の芳香のある液体(沸点56 ℃)であり、アセトンは水に混ざりやすい。また、アセトンは、有機溶媒としても用いられる場合がある。
実験室でのアセトンの製法は、第二級アルコールである2-プロパノール CH{{sub|3}}CH(OH)CH{{sub|3}} を酸化することで得られる。2-プロパノールに酸化剤の硫酸酸性二クロム酸カリウム水溶液を加え加熱すると、アセトンを生じる。
: <chem>3CH3CH(OH)CH3 + Cr2O7^2- + 8H+ -> 3CH3COCH3 + 2Cr3+ + 7H2O</chem>
また、アセトンは酢酸カルシウムの乾留によっても、実験室でアセトンを得ることができる。酢酸カルシウムの固体を試験管に入れ、加熱すると、アセトンを生じる。
: <chem>(CH3COO)2Ca -> CH3COCH3 + CaCO3</chem>
工業的には、クメン法によって作られる。
== ヨードホルム反応 ==
水酸化ナトリウム水溶液のような塩基性溶液中、アセトンにヨウ素を反応させると、特有の臭気をもつ'''ヨードホルム''' CHI<sub>3</sub> の黄色沈殿が生成する。この反応を'''ヨードホルム反応'''という。
このヨードホルム反応は、アセチル基 CH<sub>3</sub>CO- を持つケトンやアルデヒド、または部分構造 CH<sub>3</sub>CH(OH)-(1-ヒドロキシエチル基)を持つアルコールが起こす。
酢酸はCH<sub>3</sub>CO-構造を含むが、酢酸はカルボン酸であり、ケトンやアルデヒドではないのでヨードホルム反応は起こさない。酢酸エチルも、ヨードホルム反応を起こさない。
ヨードホルム反応の起きる代表的な化合物は、アセトン、アセトアルデヒド、エタノール、2-プロパノールなどである。
== カルボン酸 ==
カルボキシ基 -COOH を含む化合物を'''カルボン酸'''という。
{| style="text-align:center" cellspacing="0" border="1" align="right"
!示性式
!名称
!構造式
|-
|HCOOH
|'''ギ酸'''
|[[ファイル:Formic_acid.svg|100x100ピクセル|ギ酸]]
|-
|CH{{sub|3}}COOH
|'''酢酸'''
|[[ファイル:Acetic_acid_2.svg|140x140ピクセル|酢酸]]
|}
=== カルボン酸の性質 ===
[[高校化学 酸素を含む脂肪族化合物#アルデヒド|アルデヒド]]の部分で学んだように、アルデヒドを酸化するとカルボン酸が得られる。
カルボン酸の酸性の原因は、COOHの部分の水素Hが水溶液中で電離するからである。
{| class="sortable wikitable"
|+カルボン酸の性質
!分類
!名称
!示性式
!融点
!その他
|-
| rowspan="5" |飽和モノカルボン酸
|ギ酸
|HCOOH
|8.40℃
|アリから発見
|-
|酢酸
|CH{{sub|3}}COOH
|16.7 ℃
|食酢の成分
|-
|プロピオン酸
|CH{{sub|3}}CH{{sub|2}}COOH
| -20.8℃
|乳製品に含まれる
|-
|パルミチン酸
|C<sub>15</sub>H<sub>31</sub>-COOH
|63°C
|
|-
|ステアリン酸
|C<sub>17</sub>H<sub>35</sub>-COOH
|71°C
|
|-
| rowspan="5" |不飽和モノカルボン酸
|アクリル酸
|CH{{sub|2}}=CHCOOH
|14℃
|塗料、接着剤など
|-
|メタクリル酸
|CH{{sub|2}}=CHCOOCH{{sub|3}}
|16℃
| --
|-
|オレイン酸
|C<sub>17</sub>H<sub>33</sub>-COOH
|13°C
|二重結合1個
|-
|リノール酸
|C<sub>17</sub>H<sub>31</sub>-COOH
| -5°C
|二重結合2個
|-
|リノレン酸
|C<sub>17</sub>H<sub>29</sub>-COOH
| -11°C
|二重結合3個
|-
| rowspan="2" |飽和ジカルボン酸
|シュウ酸
|HOOC-COOH
|187℃(分解)
|ホウレン草などに存在
|-
|アジピン酸
|HOOC–(CH{{sub|2}}){{sub|4}}–COOH
|153℃
|ナイロンの原料
|-
| rowspan="2" |不飽和ジカルボン酸
|フマル酸
|C{{sub|2}}H{{sub|2}}(COOH){{sub|2}}
|300℃(封管中)
|植物に含まれる
|-
|マレイン酸
|C{{sub|2}}H{{sub|2}}(COOH){{sub|2}}
|133℃
|合成樹脂の原料
|-
| rowspan="3" |ヒドロキシ酸
|乳酸
|CH{{sub|3}}CH(OH)COOH
|17℃
|ヨーグルトの成分
|-
|酒石酸
|(CH(OH)COOH){{sub|2}}
|170℃
|ブドウの果実中に存在
|-
|リンゴ酸
|HOOC-CH(OH)-CH<sub>2</sub>-COOH
|100°C
|果実中に存在
|}
脂肪族の1価カルボン酸を'''脂肪酸'''という。
分子中の炭素数が少ない脂肪酸を'''低級脂肪酸'''、炭素の多い脂肪酸を'''高級脂肪酸'''という。また、炭素間結合が単結合のみの脂肪酸を'''飽和脂肪酸'''、二重結合または三重結合を含む脂肪酸を'''不飽和脂肪酸'''という<ref>飽和脂肪酸は炭素原子に結合できる水素が飽和している。不飽和脂肪酸は二重結合または三重結合の部分に水素を付加出来るため、炭素原子に結合できる水素が飽和していないという意味である。</ref>。
分子中にカルボキシ基を1つ持つカルボン酸を1価カルボン酸(モノカルボン酸: mono-carboxylic acid)といい、カルボキシ基を2つ持つカルボン酸を2価カルボン酸(ジカルボン酸: di-carboxylic acid)という。
=== ギ酸 ===
[[ファイル:Formic_acid_85_percent.jpg|サムネイル|ギ酸]]
'''ギ酸'''('''蟻酸''') HCOOH は常温常圧では刺激臭のある無色の液体で、水溶液は酸性を示す。ギ酸は人体に有害で皮膚や粘膜を侵す。
ギ酸はホルミル基を持つため、還元性があり、酸化剤と反応させるとギ酸自身は酸化されて二酸化炭素となる。
[[ファイル:FormicAcid-Aldehyde_and_Carboxyl-ja.svg|中央|300x300ピクセル|ギ酸の分子構造]]
ギ酸は濃硫酸を加えて加熱すると一酸化炭素を生じる。
<chem>HCOOH -> H2O + CO ^</chem>
カルボン酸で還元性をもつ物質は例外的であり、ギ酸 HCOOH とシュウ酸 HOOC-COOH は還元性をもつ。
=== 酢酸 ===
[[ファイル:AceticAcid012.jpg|右|サムネイル|氷酢酸]]
'''酢酸'''('''醋酸''') CH{{sub|3}}COOH は常温常圧では刺激臭のある無色の液体で、水溶液は酸性を示す。
酢酸は、亜鉛などの金属と反応して水素を発生する。
: <chem>Zn + 2CH3COOH -> (CH3COO)2Zn + H2 ^</chem>
また、酢酸は弱酸だが炭酸よりは強い酸であるため、炭酸塩と反応して二酸化炭素を生じる。
: <chem>CH3COOH + NaHCO3 -> CH3COONa + H2O + CO2 ^ </chem>
また、酢酸は融点が17 ℃であり、純度の高い酢酸は冬場になると氷結してしまう。そのような酢酸を'''氷酢酸'''と呼ぶ。
酢酸は次のように2分子が水素結合で結合した二量体として存在する。
[[ファイル:Acetic Acid Hydrogenbridge V.1.svg|left|サムネイル|酢酸の二量体]]
このため、酢酸の気体から分子量を測定する実験をすると、実験方法によっては、酢酸の分子量60の2倍の値である分子量120ほどの実験値が得られる場合もある。
カルボン酸が同程度の分子量のアルコールやアルカンよりも沸点や融点が高いのは、カルボン酸がこのように二量体を形成するからである。
なお、二量体のため、酢酸は有機溶媒にも溶ける。
=== マレイン酸とフマル酸 ===
'''マレイン酸'''と'''フマル酸''' COOH-CH=CH-COOH はどちらも不飽和ジカルボン酸であり、シス-トランス異性体の関係にある。マレイン酸とフマル酸の化学的性質は大きく異なる。マレイン酸は分子内で水素結合を形成し、フマル酸は分子間で水素結合を形成するため、フマル酸の方が分子間力が強く、融点が高くなる。
{| class="wikitable"
|+シス-トランス異性体
!マレイン酸(シス形)
!フマル酸(トランス形)
|-
| [[ファイル:Maleic_acid.svg|マレイン酸]]
| [[ファイル:Fumaric_acid-structure.svg|フマル酸]]
|}マレイン酸は160℃で加熱すると脱水反応を起こし'''無水マレイン酸'''になる。これは、2つのカルボキシ基の位置関係の違いによるものである。カルボキシ基の位置が遠いトランス形のフマル酸では脱水反応は起こらない。
[[ファイル:Maleic_acid_dehydration-ja.svg|中央|マレイン酸の脱水]]
=== その他のカルボン酸 ===
カルボン酸は果物に多く含まれている。たとえばブドウに含まれる酒石酸や、柑橘類に含まれるクエン酸、リンゴに含まれるリンゴ酸はいずれもカルボン酸である。
分子中にCOOH基とOH基をもつカルボン酸を'''ヒドロキシ酸'''という。
乳酸は、糖類の発酵によって生じる。
==== 鏡像異性体 ====
[[ファイル:Lactic-acid_enantiomer_jp.svg|サムネイル|500x500ピクセル|乳酸の光学異性体]]
乳酸は、ヨーグルトなどの乳製品に含まれているヒドロキシ酸である。乳酸は炭素原子に結合している4つの原子や原子団が、4つとも異なる。このように、4本の腕にそれぞれ異なる置換基が結合した炭素原子を、'''不斉炭素原子'''という。たとえば、乳酸 CH{{sub|3}}CH(OH)COOH には不斉炭素原子が1個存在する。
[[ファイル:Lactic_acid-stereocenter.svg|中央|300x300ピクセル|乳酸の不斉炭素原子]]
上図を見ると分かるように、*印をつけた炭素原子の周りに、それぞれ色分けされた4つの異なる置換基が結合しているのが分かる。この*印がついた炭素原子が不斉炭素原子である。
ここで上の構造式は平面上に書かれているが、現実にはこの分子は立体として存在する。不斉炭素原子を中心とした正四面体の各頂点に、結合軸が配置しているのである。すると、構造式が上のように同一であっても、立体的にはどう動かしても重ね合わせることのできないものが存在する。これらは、たがいに鏡に写した関係にある。
このように、鏡写しの関係になった異性体を'''鏡像異性体'''という<ref>鏡像異性体のことを光学異性体ということもあるが、この名称は現在推奨されていない。</ref>。
鏡像異性体の一方をL体といい、もう一方をD体という。
一般に、鏡像異性体は、融点や密度などの物理的性質や、化学反応に対する化学的性質はほとんど同じである。しかし、旋光性や、味、匂いなどの生理作用が異なる。
鏡像異性体は右手と左手の関係に例えることができる。右手と左手は鏡写しの関係になっている。つまり、鏡に写した右手は左手と同じように見える。同様に、鏡に写した左手は右手に見える。しかし、右手を回転させても左手と重ね合わせることはできない。
なお、'''{{ruby|旋光|せんこう}}'''とは、物質の結晶に[[高校物理 波#光の性質|偏光]]を通したときに、その偏光の振動面が回転することである。
=== 水溶液中の水素結合 ===
カルボン酸が比較的に水に溶けやすいものが多いのは、水素結合によるものである。
また、カルボン酸と同程度の分子量のアルコールよりも、カルボン酸は水溶性が高い。
とはいえ、酢酸こそ水に溶けやすいものの、無水酢酸は水に溶けにくい。
== エステル ==
-COO- で表される構造を'''エステル結合'''という。エステル結合をもつ化合物を'''エステル'''といい、エステルを生成する脱水反応を'''エステル化'''という。
カルボン酸とアルコールを酸触媒で加熱するとエステルが生成する。
[[File:Esterification-ja.png|500px|center|エステル化]]
比較的小さな分子量のエステルは果物に似た香りを持つため、香料に使用されるものもある。また、自然界にも、果実の香り成分として、小さな分子量のエステルが存在している。
エステルは水には溶けにくく、有機溶媒に溶ける。
エステルは加水分解してカルボン酸とアルコールが生成する。
[[File:氧化酯基.PNG|400px|center|加水分解]]
:
エステル化反応は可逆反応であり、エステル化と同時に加水分解も起こっている。そのため、エステルを多く生成するためにしばしば脱水剤や触媒として濃硫酸が用いられる。
=== けん化 ===
エステルは、水酸化ナトリウムのような強塩基の水溶液をくわえて加熱すると、カルボン酸の塩とアルコールに加水分解される。このような、強塩基によるエステルの加水分解反応を'''けん化'''という。
: <chem>R-COO-R' + NaOH -> R-COONa + R'-OH</chem>
=== 酢酸エチル ===
酢酸とエタノールの混合物に触媒として濃硫酸をくわえて加熱すると、'''酢酸エチル'''CH3-COO-C2H5 が得られる。
:<chem>CH3-CO-OH + H-O-C2H5 -> CH3-COO-C2H5 + H2O</chem>
酢酸エチルは、果実のような香りをもつため、香料として用いられる。
酢酸エチルは、沸点77℃であり、揮発性の液体であり、水より軽い。
=== カルボン酸以外のエステル ===
カルボン酸とアルコールの反応だけではなく、オキソ酸とアルコールとの間の脱水反応もエステル化と呼ぶ。例えば、アルコールであるグリセリンと、オキソ酸である硝酸が脱水・エステル化すると、'''ニトログリセリン'''を生じる。ニトログリセリンは爆発性のある物質で、ダイナマイトなどに用いられる。
:<chem>CH2(OH)-CH(OH)-CH2OH + 3HNO3 -> CH2(ONO2)-CH(ONO2)-CH2ONO2</chem>
:[[File:Nitroglycerin vzorec.png|center|thumb|ニトログリセリン]]
== 油脂 ==
[[File:油脂の構造.svg|thumb|300px|油脂の構造]]
脂肪酸とグリセリン <chem>C3H5(OH)3</chem> がエステル結合した化合物を'''油脂'''という。
[[File:Glycerol structure.svg|thumb|グリセリン(1,2,3-プロパントリオール)]]
:
油脂のうち、常温で固体の油脂を'''脂肪'''、液体の油脂を'''脂肪油'''という。
脂肪は飽和脂肪酸により構成されているものが多く、脂肪油は不飽和脂肪酸により構成されているものが多い。
これは、飽和脂肪酸は直線状であるのに対して、不飽和脂肪酸は C=C 二重結合の部分で折れ曲がった形をしているためである。不飽和脂肪酸では C=C での折れ曲がりの立体構造により分子同士が近づきにくくなるので、分子間力が働きにくくなり、不飽和脂肪酸の融点は低くなる。
天然の油脂を構成する脂肪酸には炭素数が16か18のものが多い。
以下に、油脂を構成する主な脂肪酸の例を示す。
{|border=1 cellspacing=0 align=center text-align=center style="text-align:center;"
|- style="background:silver"
! !! 飽和脂肪酸!!colspan="2" | 不飽和脂肪酸
|-
| 名称 || '''ステアリン酸''' || '''オレイン酸''' || '''リノール酸'''
|-
| 示性式 || C{{sub|17}}H{{sub|35}}COOH || C{{sub|17}}H{{sub|33}}COOH || C{{sub|17}}H{{sub|31}}COOH
|-
| 分子模型 || [[File:Stearic acid spacefill.gif|200px|ステアリン酸分子模型]] || [[File:Oleic-acid-3D-vdW.png|200px|オレイン酸分子模型]] || [[File:Linolenic-acid-3D-vdW.png|200px|リノール酸分子模型]]
|}
[[File:Breakfast - bread, margarine and honey.jpg|thumb|硬化油の例 - マーガリン]]
不飽和脂肪酸の炭素間二重結合では、アルケンと同様に付加反応が起こる。油脂を構成する不飽和脂肪酸に、ニッケル Ni を触媒として用いて水素を付加させると、融点が高くなるため、常温で固体の油脂へと変化する。このようにして脂肪油から生じた固体の油脂を'''硬化油'''という。植物油をもととする硬化油はマーガリンなどに用いられる。硬化により飽和脂肪酸とすることには、長期間の保存の間に空気中の酸素が不飽和結合に付加して酸化されることを防ぐ役割もある。
{{-}}
=== 油脂のけん化 ===
油脂に水酸化ナトリウムを加えて加熱すると、油脂は'''けん化(鹸化)'''されて、高級脂肪酸のナトリウム塩('''セッケン(石鹸)''')とグリセリンになる。
洗い物などでもちいる石鹸とは、このような高級脂肪酸のナトリウム塩である。
[[File:セッケンの反応式.svg|800px|]]<br />
さて、油脂1分子に、エステル結合が3つある。よって油脂1molのけん化には、水酸化ナトリウム3molが必要になる。
セッケンは弱酸と強塩基の塩であるが、水中ではセッケンは一部が加水分解し、弱塩基性を示す。
:<chem>R-COONa + H2O -> R-COOH + Na+ + OH-</chem>
セッケンの炭化水素基部分(図中 R- の部分)は疎水性である。セッケンのカルボキシル基COONaの部分は親水性である。
[[File:MicelleColor.png|thumb|right|250px|ミセル]]
水中では、多数のセッケンの疎水基の部分どうしが集まり、親水基を外側にして集まる構造のコロイド粒子の'''ミセル'''になる。
セッケン分子のように、分子中に親水基と疎水基を合わせ持つ物質を'''界面活性剤'''という。
セッケン水に油を加えると、セッケンの疎水部分が油を向いて、多数のセッケン分子が油を取り囲むので、油の小滴が水中に分散する。このような現象を'''乳化'''という。そして、セッケンのように、乳化をおこさせる物質を'''乳化剤'''という。
セッケンの洗浄作用の理由は、主に、この乳化作用によって、油を落とすことによる。
セッケンは水の表面張力を低下させる。
== セッケン ==
油脂に水酸化ナトリウム水溶液を加え加熱すると'''けん化'''(鹸化、正字:鹼化)して、高級脂肪酸のナトリウム塩とグリセリンを生じる。この高級脂肪酸の塩を'''セッケン'''(石鹸、正字:石鹼)という。脂肪酸は弱酸であり、水酸化ナトリウムは強塩基であるから、これらの塩であるセッケンの水溶液は弱塩基性を示す。
[[File:セッケンの反応式.svg|800px|]]<br />
セッケン分子は、'''疎水性'''の炭化水素基と、'''親水性'''のイオン基からなる。このように、親水基と疎水基を両方持つ物質を'''界面活性剤'''あるいは乳化剤という。
:[[File:セッケン分子の構造.svg|400px|セッケン分子の構造]]
[[File:Micel olie in water.gif|thumb|ミセル]]
このセッケン分子は疎水部を内側に、親水部を外側に向けて寄り集まった状態で集まって粒子(ミセル)を形成し、水に溶けている。水溶液中に油が存在すると、セッケン分子が油の周囲を取り囲み、疎水部は油となじみ、親水部は外側へ向いて、微粒子を形成し水溶液中へ分散し、水溶液は白濁する。この現象を'''乳化'''という。
[[File:Mydlo micela-tuk.png|center|乳化作用]]
この乳化作用により、油汚れを洗浄することができる。
マヨネーズの油と水をくっつける、卵黄のレシチンも乳化剤である。
なお、一般に、水と油の界面に配列する物質が、食べられない物質の場合に界面活性剤という場合が多い。いっぽう、食品などからつくった場合などで、食べられる場合には乳化剤という場合が多い。明確には決まっていない。
セッケンがカルシウムイオンCa<sup>+</sup>やマグネシウムイオンMg<sup>+</sup>などの溶けた硬水と混じると、水に溶けにくい塩 (R-COO)<sub>2</sub>Ca などが生じるので、セッケンの洗浄力がなくなり、泡立ちも悪くなる。
=== 界面活性剤の分類 ===
陽イオン界面活性剤には、洗浄力は無く、柔軟剤などとして使われる。陽イオン界面活性剤による洗剤は、'''逆性セッケン'''とも言われる。
{| class="wikitable"
|+ 界面活性剤の分類
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! 分類 !! 構造 !! 特徴 !! 用途
|-
| 陰イオン性<br />界面活性剤 || [[File:硫酸アルキルナトリウム.svg|400px|]] || 親水基が<br />陰イオン || 台所用洗剤<br />シャンプー<br />洗濯用洗剤
|-
| 陽イオン性<br />界面活性剤 || [[File:アルキルトリメチルアンモニウム塩化物.svg|400px|]] || 親水基が<br />陽イオン || 柔軟剤<br />リンス<br />殺菌剤
|-
| 両性<br />界面活性剤 || [[File:Nアルキルベタイン.svg|550px|]] || 親水基に<br />陰イオンと陽イオンの<br />両方をもつ || 食器用洗剤<br />柔軟剤<br />リンス<br />シャンプー
|-
| 非イオン<br />界面活性剤 || ポリオキシエチレンアルキルエーテル<br />CH<sub>3</sub>-CH<sub>2</sub>-CH<sub>2</sub>-・・・-CH<sub>2</sub>-O(CH<sub>2</sub>CH<sub>2</sub>O)<sub>n</sub>H || 親水基が電離しない || 衣料用洗剤<br />乳化剤<br />
|-
|}
セッケンは、陰イオン性界面活性剤である。
両性界面活性剤は、酸性溶液中では陽イオンになり、塩基性溶液中では陰イオンになる。
=== 合成洗剤 ===
しかし、セッケン分子は <chem>Ca^2+</chem>や <chem>Mg^2+</chem>と反応して水に溶けにくい塩を生じる。そのため、イオンを多く含む硬水や海水中では洗浄力が落ちる。
このようなセッケンの短所を改良したアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム R-C{{sub|6}}H{{sub|4}}-SO{{sub|3}}{{sup|-}}Na{{sup|+}}(略称:ABS)やアルキル酸ナトリウム R-SO{{sub|3}}{{sup|-}}Na{{sup|+}} (略称:AS)は、高級アルコールや石油などから人工的に合成される。
これらアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムやアルキル酸ナトリウムを'''合成洗剤'''という。
* ASの製法
ASの製法は、高級アルコールの1-ドデカノール C<sub>12</sub>H<sub>25</sub>-OH に濃硫酸 H2SO4 を作用させるとエステル化されることで硫酸水素ドデシル C<sub>12</sub>H<sub>25</sub>-SO{{sub|3}}H ができ、この硫酸水素ドデシルを水酸化ナトリウムで中和することで硫酸ドデシルナトリウム C<sub>12</sub>H<sub>25</sub>-SO{{sub|3}}Na が得られる。
[[File:硫酸ドデシルナトリウムの合成式.svg|700px|硫酸ドデシルナトリウムの合成式 :C<sub>12</sub>H<sub>25</sub>-OH → C<sub>12</sub>H<sub>25</sub>-SO{{sub|3}}H → C<sub>12</sub>H<sub>25</sub>-SO{{sub|3}}Na]]
* ABSの製法
炭化水素基が結合したベンゼン(アルキルベンゼン)を濃硫酸とスルホン化すると、アルキルベンゼンスルホン酸が得られる。このアルキルベンゼンスルホン酸を水酸化ナトリウムで中和することでアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが得られる。
[[File:アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの合成式.svg|700px|アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの合成式]]
=== 合成洗剤の性質 ===
セッケン水溶液は弱塩基性である。いっぽう、合成洗剤は強酸と強塩基の塩であるため、加水分解せず、よってアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの水溶液は中性である。また、合成洗剤は、硬水中でも持ち手も、不溶性の沈殿を作りにくい。
合成洗剤の分子は、疎水部と親水部からなり、乳化作用により油汚れを洗浄することができる。
=== 洗濯用洗剤のビルダー ===
合成洗剤には、その洗剤としての働きを助けるため、界面活性剤以外にも、さまざまな成分が入っている。
ひとくちの合成洗剤といっても、台所用洗剤や洗濯用洗剤など、いろいろとあり、その種類によって、組成などの違う。
洗濯用洗剤では、合成洗剤の添加剤を'''ビルダー'''という。
たとえば、洗浄力を落とすカルシウムイオンやマグネシウムイオンを取り除くため(合成洗剤はセッケンとは違い、これらのイオンがある硬水でも洗浄力を持つが、それでも、これらのイオンが無い軟水のほうが良い洗浄効果をもつ)、'''ゼオライト'''(アルミノケイ酸ナトリウム)などが入ってる。
なお、かつてリン酸塩がこれらのイオンを除くための添加剤として用いられていたが、排水が河川などの富栄養化をまねき水質汚染の原因となるため、現在はあまり用いられてない。日本では、1980年ごろから、合成洗剤での水の軟水化のための添加剤がリン酸塩からゼオライトに切り換えられた。
そのほか、タンパク質汚れを落とすための分解酵素プロテアーぜや、油汚れを落とすための脂肪分解酵素リパーぜなど、酵素が添加されていたりする。
また、一般にアルカリ性のほうが汚れが落ちやすいので、炭酸ナトリウムが添加剤として加えられる。なお、台所洗剤やシャンプーでは、アルカリが身体を痛めるため、このようなアルカリ性の物質は加えられない。
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== Hello dear visitor ==
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Kyube
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釈明を聞いてみないとどのように対応すべきか分からない。
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== 教えて下さい。>物権であるが不動産とみなす。?動産 ==
①不動産は、物権ですか。?解説の「であるが_文」ですか。
:「物権であるが」を消すと、条文第2項の一部分と同じ。
②不動産扱いについて。
:原則と原則じゃないで、行頭の中点・2行になると思いました。(段下げは理解しています。)
:どうして行頭で中点・の3行が必要ですか。?解析幾何のコラム in コラムみたいです。
③小見出し「不動産」→「不動産扱い」「不動産とみなす」原則はイラナイかも。
:「不動産執行の対象」物。?「不動産執行の目的?」物。小見出しも不要。
>...ご指摘は基本的に考えて編集したものなので強い根拠がなければ拒否します....(トーク:初等数学公式集/解析幾何より)--[[利用者:Tkkn46tkkn46|Tkkn46tkkn46]] ([[利用者・トーク:Tkkn46tkkn46|トーク]]) 2026年5月2日 (土) 11:08 (UTC)
: ①だから何なのですか。その点の説明を書いてほしいということですか?実質的に条文の引き写しだから不要だというのですか?それとも?②不動産と動産とみなされる不動産以外の部分まで同一レベルの字下げでなければならないとは限らないと思うのですが。字下げのレベルが異なっている理由が分からないのであれば、このページに関して内容的に意味がある指摘をすることはあなたには早すぎると言わざるをえません。③まさか、いきなり、例外の事例から解説しろとかいう趣旨ではないですよね?小見出しについては、これから解説を実質的に執筆する人が読み手のことを考えて決定するでしょうから、今口出ししたところで、従う義理はないでしょうね。まあ、現状本条の解説は解説といえるような代物ではないし、項目出しも不十分に見えるため、再説明されても何と答えることが正解なのか難しいのかもしれませんが。 --[[利用者:Kyube|kyube]] ([[利用者・トーク:Kyube|トーク]]) 2026年6月7日 (日) 11:51 (UTC)
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解析学基礎/フーリエ変換
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wikitext
text/x-wiki
{{Pathnav|数学|解析学|解析学基礎|frame=1}}
ここでは、フーリエ変換について扱う。[[解析学基礎/フーリエ級数]]を既習とする。また、[[確率論]]の知識を要する場面がある。フーリエ変換の応用として信号処理に関係する話題も扱う。
[[物理数学II フーリエ解析]]及び[[電子工学/フーリエ変換]]も参照。
{{stub}}
==フーリエ変換==
周期<math>T</math>の周期関数<math>f(x)</math>に対する複素フーリエ展開は<math>\omega:=\frac{\tau}{T}</math>として<math>f(x)=\sum_{n=-\infty}^{\infty} C_n \mathrm{cis}(n\omega{x})</math>で定義された。
指数フーリエ係数は<math>C_n=\frac{1}{T}\int_0^T f(x)\mathrm{cis}(-n\omega{x})dx</math>と計算されたが、積分区間は幅が<math>T</math>に等しければどこでも良いので、ここでは対称区間<math>[-\frac{T}{2}, \frac{T}{2}]</math>で考えることにする。
則ち、<math>C_n=\frac{1}{T}\int_{-\frac{T}{2}}^{\frac{T}{2}} f(x)\mathrm{cis}\left(-\frac{n\tau}{T}x\right)dx</math>
ここで<math>T\to\infty</math>とした極限が収束するならば、複素フーリエ展開が非周期関数にも一般化されることが期待される。
<math>\xi:=\frac{n}{T}</math>は<math>T\to\infty</math>で連続値をとることに注意して、<math>\lim_{T\to\infty}TC_n</math>が収束するとき、非周期関数<math>f(x)</math>の'''フーリエ変換'''を
:<math>\tilde{f}(\xi):=\lim_{T\to\infty}TC_n=\int_{-\infty}^\infty f(x) \mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
と定義する。
上の導出に於いて、'''最右辺の広義積分は二重極限による通常の広義積分でなく対称極限によるコーシー主値である'''ことに注意。但し、<math>f\in{L^1}</math>の場合は通常の広義積分と一致する。
フーリエ変換の記法には以下のようなものが存在する。
:<math>\tilde{f}(\xi),\quad\hat{f}(\xi),\quad\mathcal{F}[f(x)](\xi),\quad{F}(\xi),\quad(\mathcal{F}f)(\xi)</math>
<math>\mathcal{F}</math>はFのカリグラフィー体であるが、スクリプト体の<math>\text{ℱ}</math>を用いることもある。
フーリエ変換<math>\text{ℱ}:f(x)\to{F}(\xi)</math>について、<math>x, \xi</math>はそれぞれ物理的には時刻<math>t</math>, 周波数<math>\nu</math>に対応する。そのため、フーリエ変換前の空間を「時間領域」、変換後の空間を「周波数領域」と呼ぶ場合がある。また、フーリエ変換によって得られる関数<math>\tilde{f}(\xi)</math>は'''周波数スペクトル密度'''とも呼ばれる。周波数スペクトル密度の周波数に対するグラフを'''周波数スペクトル'''と呼ぶ。変換前の関数は'''変換核'''や'''元信号'''と呼ぶ場合がある。
2つの関数<math>f, g</math>がフーリエ変換の元信号と周波数スペクトルの関係になっているとき、このペアを'''フーリエ対'''と呼ぶ。フーリエ対は<math>f \leftrightarrow g</math>のように示す場合もある。
フーリエ変換の逆変換を考える。
複素フーリエ展開は<math>f(x)=\sum_{n=-\infty}^{\infty} C_n \mathrm{cis}(n\omega{x})</math>である。
<math>\text{∆}\xi:=\frac{1}{T}</math>とすると<math>f(x)=\sum_{n=-\infty}^{\infty} \frac{C_n}{\text{∆}\xi} \mathrm{cis}(n\omega{x})\text{∆}\xi</math>
ここで<math>T\to\infty</math>とすると<math>\text{∆}\xi\to0</math>であり、<math>\lim_{\text{∆}\xi\to0} \frac{C_n}{\text{∆}\xi}=\tilde{f}(\xi), \quad n\omega =\tau\xi</math>と区分求積法より
:<math>\lim_{\text{∆}\xi\to0} \sum_{n=-\infty}^{\infty} \frac{C_n}{\text{∆}\xi} \mathrm{cis}(n\omega{x})\text{∆}\xi=\int_{-\infty}^{\infty} \tilde{f}(\xi) \mathrm{cis}(\tau\xi{x})d\xi</math>
これを'''逆フーリエ変換'''という。
逆フーリエ変換は<math>\text{ℱ}^{-1}[\tilde{f}(\xi)](x)</math>とも表す。
フーリエ変換には異なる定義も存在する。
具体的には、<math>\omega=\tau\xi</math>と改めて置いて
:<math>\text{ℱ}[f(x)](\omega):=\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}(-\omega{x})dx</math>
:<math>\text{ℱ}^{-1}[\tilde{f}(\omega)]:={\color{orangered}\frac{1}{\tau}}\int_{-\infty}^\infty \tilde{f}(\omega)\mathrm{cis}(\omega{x})d\omega</math>
と定義する。
この定義では、逆フーリエ変換に正規化定数<math>\frac{1}{\tau}</math>が出現するので注意が必要である。この正規化係数は変数変換のヤコビ行列式に由来する。
絶対可積分関数(<math>f\in{L^1}</math>)に対してはフーリエ変換は必ず収束する。一般の関数や超関数に対する収束性は省略する。
==フーリエ変換の性質==
;初期値
フーリエ変換の定義より、<math>\tilde{f}(0)=\int_{-\infty}^\infty f(x)dx</math>である。
則ち、'''周波数スペクトル密度の初期値は波形の総面積に等しい'''。
孤立波の場合、この事実は周波数スペクトル密度の検算に使える。
;奇関数・偶関数
<math>f(x)</math>が奇関数とすると、そのフーリエ変換は
:<math>\text{ℱ}[f(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx=\int_{-\infty}^\infty f(x)\cos(-\tau\xi{x})-i\int_{-\infty}^\infty f(x)\sin(-\tau\xi{x})dx</math>
第一項の被積分関数は奇関数と偶関数の積なので奇関数であるが、フーリエ変換がコーシー主値で定義されたことを鑑みると「奇関数の対称積分は0」をそのまま適用できる。第二項の被積分関数は奇関数と奇関数の積なので偶関数であるので、その原始関数は奇関数である。
則ち、'''奇関数のフーリエ変換は奇関数且つ純虚数値をとる'''。
同様に、'''偶関数のフーリエ変換は偶関数且つ実数値をとる'''ことも証明できる。
なお、最右辺の式<math>\int_{-\infty}^\infty f(x)\cos(-\tau\xi{x})-i\int_{-\infty}^\infty f(x)\sin(-\tau\xi{x})dx</math>を用いると、同様に以下が導かれる。
:偶関数のフーリエ変換は<math>\text{ℱ}[f(x)](\xi)=2\int_0^\infty f(x)\cos(\tau\xi{x})dx</math>('''フーリエ余弦変換''')。
:奇関数のフーリエ変換は<math>\text{ℱ}[f(x)](\xi)=-2i\int_0^\infty f(x)\sin(\tau\xi{x})dx</math>('''フーリエ正弦変換''')。
これらを用いると、変換の計算が楽になる場合がある。
;線型性
積分及び極限の線型性より、フーリエ変換の線型性も直ちに成り立つ。
;デルタ関数
以下のような性質を持つ<math>\delta(x)</math>を'''ディラックのデルタ関数'''('''衝撃関数''')という。
:<math>\delta(x)=\begin{cases} \infty & x=0 \\ 0 & \mathrm{otherwise} \end{cases}</math>
:<math>\int_{-\infty}^\infty \delta(x)dx=1</math>
:<math>\int_{-\infty}^\infty f(x)\delta(x-a)dx=f(a)</math>
デルタ関数は通常の意味での関数の定義を満たさない'''超関数'''の一つである。超関数に就いては[[超関数論]]を参照。
デルタ関数のフーリエ変換を考えると、3番目の性質を用いて
:<math>\text{ℱ}[\delta(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty \delta(x) \mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx=\mathrm{cis}\,0=1</math>
則ち、'''1の逆フーリエ変換はデルタ関数'''である。
孤立単一方形波<math>t(x)=\begin{cases} \frac{1}{T} & |x|\leq\frac{T}{2} \\ 0 & \mathrm{otherwise} \end{cases}</math>のフーリエ変換を考えると、
:<math>\text{ℱ}[t(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty \mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=\int_{-\frac{T}{2}}^{\frac{T}{2}} \frac{1}{T}\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=-\frac{1}{\tau\xi{Ti}}\left[ \mathrm{cis}(-\tau\xi{x}) \right]_{-\frac{T}{2}}^{\frac{T}{2}}</math>
:<math>=\frac{2i}{\tau\xi{Ti}}\sin(\pi{T}\xi)</math>
:<math>=\frac{\sin(\pi{T}\xi)}{\pi{T}\xi}</math>
:<math>=\mathrm{sinc}(\pi{T}\xi)</math>
よって
:<math>\lim_{T\to0}t(x)=\delta(x)</math>
より
:<math>\lim_{T\to0}\mathrm{sinc}(\pi{T}\xi)=\lim_{\pi{T}\xi\to0}\frac{\sin(\pi{T}\xi)}{(\pi{T}\xi)}=1</math>
とも示せる。
デルタ関数が1の逆フーリエ変換に等しいので
:<math>\delta(x)=\int_{-\infty}^\infty \mathrm{cis}(\tau\xi{x})d\xi</math>
であるが、<math>\xi</math>を<math>-\xi</math>で置換すると
:<math>\delta(x)=\int_{-\infty}^\infty \mathrm{cis}(-\tau\xi{x})d\xi</math>
を得る。
ここで、変数を交換しても式はそのまま成り立つので、
:<math>\delta(\xi)=\int_{-\infty}^\infty \mathrm{cis}(\tau\xi{x})dx=\int_{-\infty}^\infty \mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>・・・★
も得る。
極限がデルタ関数となる関数のとり方は一意ではない。先ほど紹介した孤立単一方形波だけでなく、例えば正規分布の確率密度関数<math>\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\exp\left(-\frac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2}\right)</math>の<math>\sigma\to0</math>の極限や標本化波<math>\frac{k}{\pi}\mathrm{sinc}(kx)</math>の<math>k\to\infty</math>の極限も<math>\delta(x)</math>である。
一般に、関数列<math>\{\delta_n\}</math>がデルタ関数に収束する条件は
:<math>\begin{cases}\forall{n},\, \int_{-\infty}^\infty \delta_n(x)dx=1 \\ \forall{\varepsilon>0},\,\forall{\eta>0},\,\exist{N\in\mathbb{N}},\, \forall{n\geq{N}},\, \int_{
|x|>\varepsilon} |\delta_n(x)|dx < \eta \end{cases}</math>
であることが知られている。
;単位ステップ関数
以下のように区分的に定義される関数<math>H(x)</math>を'''単位ステップ関数'''('''ヘヴィサイドの階段関数''')という。
:<math>H(x)=\begin{cases} 1 & x\geq0 \\ 0 & \mathrm{otherwise} \end{cases}</math>
これのフーリエ変換を考える。
:<math>\text{ℱ}[H(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty H(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx=\int_{0}^\infty \mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
であるが、この広義積分は収束しない。
そこで、指数関数を用いて以下のように偶関数成分と奇関数成分に分解して考える。
:<math>H(x)=\lim_{a\to+0}\begin{cases} \frac{1}{2}+\frac{1}{2}e^{-ax} & x\geq0 \\ \frac{1}{2}-\frac{1}{2}e^{ax} & \mathrm{otherwise} \end{cases}</math>
原点対称な関数<math>v(x):=\begin{cases} e^{-ax} & x\geq0 \\ -e^{ax} & \mathrm{otherwise} \end{cases}</math>のフーリエ変換を考えると、
:<math>\text{ℱ}[v(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty v(x)\mathrm{cis}(\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=\int_{-\infty}^0 -e^{ax}e^{-\tau\xi{xi}}dx+\int_0^\infty e^{-ax}e^{-\tau\xi{xi}}dx</math>
:<math>=-\frac{1}{a-\tau\xi{i}}\left[ e^{(a-\tau\xi{i})x} \right]_{-\infty}^0-\frac{1}{a+\tau\xi{i}}\left[ e^{-(a+\tau\xi{i})x} \right]_0^\infty</math>
:<math>=\frac{1}{a+\tau\xi{i}}-\frac{1}{a-\tau\xi{i}}</math>
:<math>=-\frac{2\tau\xi}{a^2+\tau^2\xi^2}i</math>
よって
:<math>\text{ℱ}[H(x)](\xi)=\text{ℱ}\left[\frac{1}{2}+\frac{1}{2}\lim_{a\to0}v(x)\right](\xi)</math>
:<math>=\text{ℱ}\left[\frac{1}{2}\right](\xi)+\frac{1}{2}\lim_{a\to0}\text{ℱ}[v(x)](\xi)</math>
:<math>=\frac{1}{2}\delta(\xi)+\frac{1}{2}\lim_{a\to0}\left( -\frac{2\tau\xi}{a^2+\tau^2\xi^2}i \right)</math>
:<math>=\frac{1}{2}\delta(\xi)+\frac{1}{\tau\xi{i}}</math>
ここで、<math>\frac{1}{\tau\xi{i}}</math>は<math>\xi=0</math>で発散する為、実際には主値超関数<math>\mathrm{PV}\left(\frac{1}{\tau\xi{i}}\right)</math>と読み替える必要がある。
幅<math>\text{∆}t</math>高さ<math>\frac{1}{\text{∆}t}</math>, 面積<math>1</math>の方形波は以下のように表される。
:<math>\gamma(x)=\frac{u(t)-u(t-\text{∆}t)}{\text{∆}t}</math>
ここで<math>\text{∆}t\to0</math>の極限を考えると
:<math>\lim_{\text{∆}t\to0}\gamma(x)=\frac{du}{dt}=\delta(x)</math>
となる。
則ち、デルタ関数は超関数の意味で単位ステップ関数の導関数と考えられる。
これを用いると、デルタ関数の2番目の性質は
:<math>\int_{-\infty}^\infty \delta(x)dx=\left[H(x)\right]_{-\infty}^\infty=1-0=1</math>
という考え方もできる。
;周期関数
周期関数を複素フーリエ展開して<math>f(x)=\sum_{n=-\infty}^{\infty} C_n \mathrm{cis}(n\tau\xi_{0}x)</math>
これのフーリエ変換は
:<math>\text{ℱ}[f(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \left( \sum_{n=-\infty}^{\infty} C_n \mathrm{cis}(n\tau\xi_{0}x) \right)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \left( \sum_{n=-\infty}^\infty C_n \mathrm{cis}\{ -\tau(\xi-n\xi_0)x \} \right)dx</math>
:<math>=\sum_{n=-\infty}^\infty \left( \int_{-\infty}^\infty C_n\mathrm{cis}\{-\tau(\xi-n\xi_0)x\} dx \right)</math>
:<math>=\sum_{n=-\infty}^\infty C_n \left( \int_{-\infty}^\infty \mathrm{cis}\{-\tau(\xi-n\xi_0)x\} dx \right)</math>
:<math>=\sum_{n=-\infty}^\infty C_n \delta(\xi-n\xi_0)\quad(\because\text{★})</math>
と求まる。
則ち、周期関数をフーリエ変換した周波数スペクトルは基本振動数<math>\xi</math>の整数倍の位置に線スペクトルが出現する離散的なグラフであると判る。
;エルミート性・複素共軛
<math>\tilde{f}(-\xi)</math>を考えると、
:<math>\tilde{f}(-\xi)=\text{ℱ}[f(x)](-\xi)</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}\{-\tau(-\xi)x\}dx</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty f(x)\overline{\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})}dx</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \overline{f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})}dx</math>
:<math>=\overline{\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx}</math>
:<math>=\overline{\text{ℱ}[f(x)](\xi)}</math>
:<math>=\overline{\tilde{f}(\xi)}</math>
と、エルミート性(共軛対称性)が成り立つ。
ここで周波数スペクトル密度の実部と虚部を考えると、エルミート性から
:<math>\mathrm{Re}\{\tilde{f}(-\xi)\}=\mathrm{Re}\{\tilde{f}(\xi)\}</math>
:<math>\mathrm{Re}\{\tilde{f}(-\xi)\}=-\mathrm{Im}\{\tilde{f}(\xi)\}</math>
が成り立つ。
則ち、'''周波数スペクトル密度の実部は偶関数、虚部は奇関数'''である。
また、同様にして複素共軛のフーリエ変換も得る。
:<math>\text{ℱ}\left[\overline{f(x)}\right](\xi)=\int_{-\infty}^\infty \overline{f(x)} \mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \overline{f(x)\mathrm{cis}(\tau\xi{x})}dx</math>
:<math>=\overline{\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}(-\tau(-\xi){x})dx}</math>
:<math>=\overline{\text{ℱ}[f(x)](-\xi)}</math>
:<math>=\overline{\tilde{f}(-\xi)}</math>
;平行移動・変調
時間領域での平行移動('''時間シフト''')を考える。
:<math>\text{ℱ}[f(x-x_0)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty f(x-x_0)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty f(t) \mathrm{cis}\{-\tau\xi(t+x_0)\}dt</math>
:<math>=\mathrm{cis}(-\tau\xi{x_0})\int_{-\infty}^\infty f(t)\mathrm{cis}(-\tau\xi{t})dt</math>
:<math>=\mathrm{cis}(-\tau\xi{x_0})\text{ℱ}[f(t)](\xi)</math>
:<math>=\mathrm{cis}(-\tau\xi{x_0})\tilde{f}(\xi)</math>
ここで、<math>|\mathrm{cis}(g(x))|=1</math>より、時間シフトはフーリエ変換に対して周波数領域のノルムを保存し、遅延時間に比例して周波数領域の位相を回転させる。
また、周波数領域での平行移動('''変調・周波数シフト''')を考える。
:<math>\tilde{f}(\xi-\xi_0)=\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}\{-\tau(\xi-\xi_0)x\}dx</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \left\{ f(x)\mathrm{cis}(\tau\xi_{0}x) \right\} \mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=\text{ℱ}[f(x)\mathrm{cis}(\tau\xi_{0}x)](\xi)</math>
よって、周波数シフトはフーリエ変換に対して時間領域のノルムを保存し、時間領域の位相回転に応じて周波数領域のシフトが現れる。
則ち、時間シフトと周波数シフトはフーリエ変換に関して双対である。
;相位変換
時間領域での原点を中心とした伸縮('''相位変換・スケーリング''')を考える。
:①<math>a\geq0</math>のとき
:<math>\text{ℱ}[f(ax)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty f(ax)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty f(y)\mathrm{cis}\left(-\tau\frac{\xi}{a}y\right)\frac{1}{a}dy</math>
:<math>=\frac{1}{a}\tilde{f}\left(\frac{\xi}{a}\right)</math>
:②<math>a<0</math>のとき
:<math>\text{ℱ}[f(ax)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty f(ax)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=\int_{\infty}^{-\infty} f(y)\mathrm{cis}\left(-\tau\frac{\xi}{a}y\right)\frac{1}{a}dy</math>(※<math>a<0</math>より変数変換<math>y=ax</math>で積分区間が反転する)
:<math>=-\frac{1}{a}\tilde{f}\left(\frac{\xi}{a}\right)</math>
:①, ②を組み合わせて
:<math>\text{ℱ}[f(ax)](\xi)=\frac{1}{|a|}\tilde{f}\left(\frac{\xi}{a}\right)</math>
時間シフトと相位変換を合成することで、<math>x\to{ax+b}</math>という[[線型代数学続論/アフィン変換|アフィン変換]]に対するフーリエ変換を計算できる。
;周波数スペクトル
周波数スペクトルを時間領域の関数と見た<math>\tilde{f}(x)</math>のフーリエ変換を考える。
:<math>\tilde{f}(\xi)=\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>x, \xi</math>を入れ替えて
:<math>\tilde{f}(x)=\int_{-\infty}^\infty f(\xi)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})d\xi</math>
:<math>\xi</math>を<math>-\xi</math>で置換して
:<math>\tilde{f}(x)=\int_{-\infty}^\infty f(-\xi) \mathrm{cis}(\tau\xi{x})d\xi</math>
:<math>\text{ℱ}^{-1}[f(-\xi)](x)=\tilde{f}(x)</math>より
:<math>\text{ℱ}[\tilde{f}(x)](\xi)=f(-\xi)</math>
よって、フーリエ変換を4回合成したものは恒等変換である。これは、[[関数解析学]]的には「フーリエ変換は関数空間の位相を<math>90^\circ</math>だけ回転する」と解釈される。
;畳み込み
全区間で定義される実関数<math>f, g</math>に対し、
:<math>(f\ast{g})(x)=\int_{-\infty}^\infty f(u)g(x-u)du</math>
を'''畳み込み'''('''重畳積分・コンボリューション''')という。
時間領域での畳み込みのフーリエ変換を考える。
:<math>\text{ℱ}[(f\ast{g})(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty (f\ast{g})(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \left( \int_{-\infty}^\infty f(u)g(x-u)du \right)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty f(u) \left( \int_{-\infty}^\infty g(x-u)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx \right) du</math>(<math>\because</math>フビニの定理)
:<math>=\int_{-\infty}^\infty f(u) \mathrm{cis}(-\tau\xi{u}) du\cdot \tilde{g}(\xi)</math>(<math>\because</math>時間シフトの性質)
:<math>=\tilde{f}(\xi)\cdot\tilde{g}(\xi)</math>
則ち、'''時間領域での畳み込みは周波数領域での乗算'''である。
周波数領域での畳み込みの逆フーリエ変換を考える。
:<math>\text{ℱ}^{-1}[(\tilde{f}\ast\tilde{g})(\xi)](x)=\int_{-\infty}^\infty (\tilde{f}\ast\tilde{g})(\xi)\mathrm{cis}(\tau\xi{x})d\xi</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \left( \int_{-\infty}^\infty \tilde{f}(\zeta)\tilde{g}(\xi-\zeta) d\zeta \right) \mathrm{cis}(\tau\xi{x}) d\xi</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \tilde{f}(\zeta) \left( \int_{-\infty}^\infty \tilde{g}(\xi-\zeta) \mathrm{cis}(\tau\xi{x}) d\xi \right) d\zeta</math>(<math>\because</math>フビニの定理)
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \tilde{f}(\zeta) \mathrm{cis}(\tau\zeta{x}) d\zeta\cdot g(x)</math>(<math>\because</math>周波数シフトの性質)
:<math>=f(x)\cdot{g}(x)</math>
則ち、'''周波数領域での畳み込みは時間領域での乗算'''である。
よって、畳み込みと乗算はフーリエ変換に関して双対である。
デルタ関数の3番目の性質は、「デルタ関数との畳み込みが恒等変換」であることを示している。なお、デルタ関数の引数を平行移動すれば関数全体が平行移動する。
;導関数・定積分
導関数のフーリエ変換を求める。
:<math>\text{ℱ}\left[\frac{d}{dx}f(x)\right](\xi)=\int_{-\infty}^\infty \left(\frac{d}{dx}f(x)\right)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=[ f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x}) ]_{-\infty}^{\infty} - \int_{-\infty}^\infty f(x) \left(\frac{d}{dx}\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})\right)dx</math>
:<math>=[ f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x}) ]_{-\infty}^{\infty} + \tau\xi{i}\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=[ f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x}) ]_{-\infty}^{\infty} + \tau\xi{i}\tilde{f}(\xi)</math>
実際に用いる際は、元信号に境界条件<math>\lim_{|x|\to\infty}f(x)=0</math>を課す場合が多い(<math>|\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})|=1</math>より境界項が0に収束し、第二項のみが残るので)。
定積分のフーリエ変換を求める。但し、積分区間は<math>(-\infty, x]</math>で固定されているものとする。
:<math>\int_{-\infty}^x f(t)dt = \int_{x}^{-\infty} f(t) (-dt)</math>
:<math>t=x-u</math>と置換すると<math>du=-dt,\quad t|x\to-\infty \iff u|0\to\infty</math>なので
:<math>=\int_{0}^\infty f(x-u)du</math>
:ヘヴィサイド関数<math>H(u)=\begin{cases} 1 & u\geq0 \\ 0 & \mathrm{otherwise} \end{cases}</math>を用いると
:<math>=\int_{-\infty}^\infty H(u)f(x-u)du</math>
:<math>=(H\ast{f})(x)</math>
:よって畳み込みのフーリエ変換から
:<math>\text{ℱ}\left[ \int_{-\infty}^x f(t) dt\right](\xi)=\text{ℱ}\left[ (H\ast{f})(x)\right] (\xi)</math>
:<math>=\text{ℱ}[H(x)](\xi)\cdot\text{ℱ}[f(x)](\xi)</math>
:<math>=\left\{\frac{1}{2}\delta(\xi)+\mathrm{PV}\left(\frac{1}{\tau\xi{i}}\right)\right\}\tilde{f}(\xi)</math>
ここで<math>\xi\neq0</math>の時を考えると、周波数スペクトル密度は<math>\frac{1}{\tau\xi{i}}\tilde{f}(\xi)</math>である。
微分・積分は逆演算であるが、性質の良い函数に就いては周波数領域で見るとそれぞれ<math>\tau\xi{i}</math>の乗算・除算に対応し、こちらも逆演算となっている。
導関数のフーリエ変換結果から類推して、以下のようなフーリエ変換を考えてみる。
:<math>\text{ℱ}[xf(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty xf(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=-\frac{1}{\tau{i}} \int_{-\infty}^\infty \frac{d}{d\xi} f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx </math>
:<math>=\frac{i}{\tau}\frac{d}{d\xi}\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>(<math>\because</math>ルベーグの優収束定理)
:<math>=\frac{i}{\tau}\frac{d}{d\xi}\tilde{f}(\xi)</math>
則ち、元信号に変数自身を掛ける操作と微分操作はフーリエ変換に関して双対である。
;リーマン・ルベーグの補題
フーリエ変換に関して、以下が成り立つ('''リーマン・ルベーグの補題''')。
:<math>f \in L^1 \implies \lim_{|\xi|\to\infty} \tilde{f}(\xi)=0</math>
つまり、周波数スペクトル密度は高周波領域では減衰する。
;プランシュレルの定理
時間領域で自身の複素共軛との積を考えると、畳み込みの逆フーリエ変換から
:<math>\int_{-\infty}^\infty \{f(x)\cdot\overline{f(x)}\} \mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx=\int_{-\infty}^\infty \tilde{f}(\zeta)\cdot\overline{\tilde{f}(\zeta-\xi)}d\zeta</math>
ここで<math>\xi=0</math>と置いてみると
:<math>\int_{-\infty}^\infty |f(x)|^2 dx = \int_{-\infty}^\infty|\tilde{f}(\zeta)|^2 d\zeta</math>
<math>\zeta</math>は束縛変数なので改めて<math>\xi</math>で置くと
:<math>\int_{-\infty}^\infty |f(x)|^2 dx = \int_{-\infty}^\infty|\tilde{f}(\xi)|^2 d\xi</math>
これを'''プランシュレルの定理'''という。工学ではこれと同値な'''パーシバルの定理'''(複素フーリエ級数の各指数係数の内積の総和が元の関数同士の内積に一致するという定理)と同一視されることもある。
右辺の被積分関数である、<math>W(\xi)=|\tilde{f}(\xi)|^2</math>を'''エネルギースペクトル密度'''と呼ぶ。プランシュレルの定理は「時間領域で表した全エネルギーと周波数領域で表した全エネルギーが常に等しい=フーリエ変換に対する保存量はエネルギー」ということを主張する。
関連して、指数係数のノルム平方にデルタ関数列を掛けて足し合わせた無限級数<math>S(\xi)=\sum_{n=-\infty}^\infty |C_n|^2 \delta(\xi-n\xi_0)</math>の値を'''電力スペクトル密度'''という。
この定理を用いると「フーリエ変換が<math>L^2</math>空間に関してユニタリ作用素である」ことが導かれ、<math>f\in L^2</math>でのフーリエ変換を正当化する。
;不確定性関係
<math>\int_{-\infty}^\infty |f(x)|^2dx=1</math>であるとする。このとき、プランシュレルの定理から同様に<math>\int_{-\infty}^{\infty} |\tilde{f}(\xi)|^2 d\xi=1</math>である。
ここで、<math>|f(x)|^2</math>を確率密度関数<math>f_X</math>とみて<math>E(X)=0</math>の下での分散<math>V(X)</math>を<math>D_0(f)</math>と置く。
このとき、<math>f</math>が絶対連続で<math>xf(x), \frac{d}{dx}f(x)</math>が二乗絶対可積分関数であるならば、以下が成り立つ('''不確定性関係''')。
:<math>D_0(f)D_0(\tilde{f})\geq\frac{1}{4\tau^2}</math>
これは、一般に<math>E(X)\neq0</math>でも成り立つ。
等号成立条件は<math>f</math>がガウス型の関数であることである。
;ポアソン和の公式
'''ポアソン和の公式'''は、ある関数列の無限和とその関数列をフーリエ変換したものの無限和が等しいことを示す等式である。
:<math>\begin{align} \sum_{\xi=-\infty}^{\infty} \tilde{f}(\xi) &= \sum_{\xi=-\infty}^{\infty} \bigg( \int_{-\infty}^\infty f(x)\, \mathrm{cis}(-\tau\xi{x}) dx \bigg) = \int_{-\infty}^\infty f(x) \underbrace{\Bigg( \sum_{\tau=-\infty}^\infty \mathrm{cis}(-\tau\xi{x}) \Bigg)}_{\sum_{n=-\infty}^\infty \delta (x-n)}dx \\ &= \sum_{n=-\infty}^{\infty} \bigg( \int_{-\infty}^\infty f(x)\, \delta (x-n) dx \bigg) = \sum_{n=-\infty}^{\infty} f(n) \end{align}</math>
;自己相関・相互相関
無限に観測できる(ノルム平方の全区間積分が正に発散する)波形関数<math>f</math>の'''自己相関関数'''<math>R(\chi)</math>をエルゴード平均によって以下のように定義する。この<math>\chi</math>を'''ラグ'''という。
:<math>R(\chi):=\lim_{T\to\infty}\frac{1}{T}\int_{-\frac{T}{2}}^{\frac{T}{2}} f(x)\overline{f(x+\chi)}dx</math>
ここで、<math>f</math>が周期<math>T</math>を持つ場合には、一周期平均に置き換えて
:<math>R(\chi)=\frac{1}{T}\int_{0}^T f(x)\overline{f(x+\chi)}dx</math>
と考えて良いものとする。
これのフーリエ変換を考える。
:<math>R(\chi)</math>に複素フーリエ展開表示を代入して
:<math>R(\chi)=\frac{1}{T}\int_{0}^T \left(\sum_{n=-\infty}^\infty C_n \mathrm{cis}(\tau\xi_{n}x) \right) \overline{\left( \sum_{k=-\infty}^\infty C_k \mathrm{cis}\{\tau\xi_{k}(x+\chi)\} \right)} dx</math>
:<math>=\sum_{n, k}C_n \overline{C_k} \mathrm{cis}(-\tau\xi_k\chi)\cdot\frac{1}{T}\int_{0}^{T} \mathrm{cis}\{-\tau(\xi_n-\xi_k)x\}dx</math>
:ここで最後の積分はクロネッカーのデルタ<math>\delta_{nk}</math>に等しくなるので<math>n=k</math>の項だけ考えれば良くて
:<math>=\sum_{n=-\infty}^\infty |C_n|^2 \mathrm{cis}(-\tau\xi_n\chi)</math>
:よって
:<math>\text{ℱ}[(R(\chi)](\xi)=\sum_{n=-\infty}^\infty |C_n|^2 \cdot \text{ℱ}[\mathrm{cis}(-\tau\xi_n\chi)](\xi)</math>
:<math>=\sum_{n=-\infty}^\infty |C_n|^2 \delta(\xi-\xi_n)</math>
ここで<math>\xi_n=n\xi_0</math>であることから、求まった式は電力スペクトル密度に等しい。
則ち、'''周期関数に対して自己相関関数と電力スペクトル密度はフーリエ対'''である。
自己相関の式に於いて、二項目の<math>f</math>を(<math>f</math>同様に無限に観測可能な)<math>g</math>に置き換えたものを'''相互相関関数'''という。
:<math>R_{fg}(\chi)=\lim_{T\to\infty} \frac{1}{T} \int_{0}^T f(x)\overline{g(x+\chi)}dx</math>
自己相関の場合と同様に、<math>f, g</math>が共通周期<math>T</math>を持つ場合には、一周期平均に置き換えて
:<math>R_{fg}(\chi)=\frac{1}{T}\int_{0}^T f(x)\overline{g(x+\chi)}dx</math>
と考えて良いものとする。
このとき、<math>R_{fg}</math>の周波数スペクトル密度'''相互電力スペクトル密度'''と呼ぶ。
定義式から分かるように、一般に<math>R_{fg} \neq R_{gf}</math>である(<math>R(-\chi)=R(\chi),\quad R_{fg}(-\chi)=\overline{R_{gf}(\chi)}</math>が成り立つ)。
相互相関関数は、畳み込みに類似した記号を用いて<math>(f\star{g})(\chi)</math>のように表す場合もある。
波形関数が孤立波を表す場合を考える。このとき、ノルム平方の全区間積分は収束する、則ち<math>f, g\in L^2</math>である。
この場合の自己相関関数・相互相関関数はそれぞれ以下のように定義される。
:<math>R_{fg}(\chi) = \int_{-\infty}^\infty f(x)\overline{g(x+\chi)} dx</math>
:<math>R(\chi)=\int_{-\infty}^\infty f(x)\overline{f(x+\chi)} dx</math>
自己相関関数のフーリエ変換を考える。
:<math>R(\chi)=\int_{-\infty}^\infty f(x)\overline{f(x+\chi)} dx</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty f(y-\chi)\overline{f(y)}dy</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \overline{f(-y)}f(\chi-y)dy</math>
:ここで<math>\hat{f}(y):=\overline{f(-y)}</math>と置くと
:<math>R(\chi)=(\hat{f}\ast{f})(-\chi)</math>と畳み込みで表される。
:<math>(\hat{f}\ast{f})(\chi)</math>をフーリエ変換すると畳み込みのフーリエ変換より
:<math>(\hat{f}\ast{f})(\chi)\leftrightarrow\tilde{(\hat{f})}(\xi)\tilde{f}(\xi)</math>
:更に、複素共軛のフーリエ変換から
:<math>\tilde{(\hat{f})}(\xi)=\text{ℱ}\left[\overline{f(-y)}\right](\xi)</math>
:<math>=\overline{\text{ℱ}[f(-(-y))](\xi)}</math>
:<math>=\overline{\text{ℱ}[f(y)](\xi)}</math>
:<math>=\overline{\tilde{f}(\xi)}</math>
:則ち、
:<math>(\hat{f}\ast{f})(\chi)\leftrightarrow\overline{\tilde{f}(\xi)}\tilde{f}(\xi)=|\tilde{f}(\xi)|^2=W(\xi)</math>
:ここから
:<math>(\hat{f}\ast{f})(\chi)=\int_{-\infty}^\infty W(\xi)\mathrm{cis}(\tau\xi\chi)d\xi</math>
:なので、
:<math>R(\chi)=(\hat{f}\ast{f})(-\chi)=\int_{-\infty}^\infty W(\xi)\mathrm{cis}(-\tau\xi\chi)d\xi = \text{ℱ}[W(\xi)](\chi)</math>
よって、'''孤立波の波形関数に対して自己相関関数とエネルギースペクトル密度はフーリエ対'''である。
<math>R_{fg}(\chi)</math>の周波数スペクトル密度は'''相互エネルギースペクトル密度'''と呼ぶ。
自己相関関数のフーリエ変換が電力スペクトル密度/エネルギースペクトル密度であるという定理を'''ウィーナー=ヒンチンの定理'''という。[[確率過程]]の用語を用いて厳密に言うと、定常過程に於ける相関関数が時刻に無関係であること、エルゴード性から時間平均と集合平均が一致することがこの定理の背景にある。
ランダム過程に於ける電力スペクトル密度は「雑音解析」の節で扱う。
;固有関数
フーリエ変換の固有関数を求める。
固有関数条件は<math>\text{ℱ}[f(x)](\xi)=\lambda{f}(\xi), \quad f\in L^2</math>
ここで、
:<math>\text{ℱ}[xf(x)](\xi) = \frac{i}{\tau} \frac{d}{d\xi} \text{ℱ}[f(x)](\xi) </math>
固有関数条件より
:<math>\begin{cases} \mathrm{lhs}. &= \lambda\{\xi{f}(\xi)\} &= \lambda\xi f(\xi) \\ \mathrm{rhs}. &= \frac{i}{\tau}\frac{d}{d\xi}\{\lambda{f}(\xi)\} &= \frac{\lambda{i}}{\tau} \frac{d}{d\xi}f(\xi) \end{cases}</math>
よって微分方程式<math>f'=\frac{\tau\xi}{i} f</math>を得る。<br>
これは変数分離形なので
:<math>\int \frac{df}{f(\xi)} = -\tau\xi{i} d\xi</math>
:<math>\ln |f(\xi)| = -\frac{\tau}{2}\xi^2i+A</math>
:<math>f(\xi)=\pm e^{A}\exp\left(-\frac{\tau}{2}\xi^2i\right)</math>
但し、これは<math>f \in L^2</math>を満たさないので固有関数として不適格である。<br>
そこで、固有関数を<math>Ce^{-(a+bi)x^2}</math>と仮定する。<br>
これをフーリエ変換すると
:<math>\text{ℱ}\left[Ce^{-(a+bi)x^2}\right](\xi)=C\int_{-\infty}^\infty e^{-(a+bi)x^2} e^{-\tau\xi{x}i}dx</math>
:<math>=C\int_{-\infty}^\infty \exp\left\{-(a+bi)\left( x+\frac{\tau\xi{i}}{2(a+bi)} \right)^2 - \frac{\tau^2\xi^2}{4(a+bi)} \right\} dx</math>
:<math>=C\int_{-\infty}^\infty \exp\left\{-(a+bi)\left( x+\frac{\tau\xi{i}}{2(a+bi)} \right)^2 \right\} dx \exp\left( - \frac{\tau^2\xi^2}{4(a+bi)} \right)</math>
:<math>=C\sqrt{\frac{\pi}{a+bi}}\exp\left(-\frac{\pi^2\xi^2}{a+bi}\right)</math>(<math>\because</math>ガウス積分の値)
ここで、再び固有関数条件を用いて
:<math>C\sqrt{\frac{\pi}{a+bi}}\exp\left(-\frac{\pi^2\xi^2}{a+bi}\right)=\lambda{C}\exp\{-(a+bi)\xi^2\}</math>
これが<math>\xi</math>の恒等式なので、
:<math>\begin{cases} \lambda &= \sqrt{\frac{\pi}{a+bi}} \\ \frac{\pi^2}{a+bi} &= a+bi \end{cases}</math>
:<math>\therefore a+bi=\pm\pi</math>
ここで<math>f\in L^2</math>より<math>a>0</math>が課されるので、
:<math>a=\pi, b=0, \lambda=1</math>
故に、フーリエ変換の固有関数はガウス型の関数
:<math>f(x)=Ce^{-\pi x^2}</math>(<math>C</math>は任意定数)
である。
フーリエ変換を<math>\omega</math>で定義する流儀では、同様にして固有関数は<math>f(x)=Ce^{-\frac{1}{2}x^2}</math>と求まる。
このように、フーリエ変換の定義の仕方によって<math>-x^2</math>の係数である正数<math>a</math>の値が変わって来る。
;演習問題
#以下の波形関数をフーリエ変換せよ。
##単一孤立三角波<math>f(x)=\begin{cases} A\left( 1-\frac{2|x|}{T} \right) & |x|\leq\frac{T}{2} \\ 0 & \mathrm{otherwise} \end{cases}</math>
##二乗余弦波<math>f(x)=\begin{cases} A\cos^2\left(\frac{\pi{x}}{T}\right) & |x|\leq\frac{T}{2} \\ 0 & \mathrm{otherwise} \end{cases}</math>
##両側指数波<math>f(x)=A\exp\left(-\frac{|x|}{T}\right)</math>
##周期<math>K</math>の{{中付きルビ||鋸歯|きょし}}波<math>f(x)=\frac{A}{K}x</math>
#三角関数の複素指数関数表記と周波数シフトの性質を用いて、正弦波・余弦波のフーリエ変換を導出せよ。
#プランシュレルの定理とコーシー=シュワルツの不等式を用いて<math>E(X)=0</math>の場合の不確定性関係を導け。
#自己相関関数の定義式をフーリエ逆変換の式に代入することによって、自己相関関数とエネルギースペクトル密度がフーリエ対となることを証明せよ。
#(1)に於ける二乗余弦波と両側指数波の相互相関関数と相互エネルギースペクトル密度をそれぞれ求めよ。
;解答
{{NavTop|bgcolor=light-dark(#ccf,#223)|title='''1-1'''}}
:<math>\text{ℱ}[f(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=A\int_{-\frac{T}{2}}^\frac{T}{2} \left( 1-\frac{2|x|}{T} \right)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=A\left[ \frac{\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})}{-\tau\xi{i}} \right]_{-\frac{T}{2}}^\frac{T}{2} - \frac{2A}{T} \left( \int_{-\frac{T}{2}}^{0} (-x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx+\int_0^\frac{T}{2} x\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx \right)</math>
<math>\int xe^{-ax}dx=-\frac{ax+1}{a^2}e^{-ax}+C</math>を利用して
:<math>=A\frac{\mathrm{cis}(\tau\xi\frac{T}{2})-\mathrm{cis}(-\tau\xi\frac{T}{2})}{\tau\xi{i}}-\frac{2A}{T} \left( \left[ -\frac{\tau\xi{i}x+1}{\tau^2\xi^2{i^2}}\mathrm{cis}(-\tau\xi{x}) \right]_0^{-\frac{T}{2}}+ \left[ -\frac{\tau\xi{i}x+1}{\tau^2\xi^2{i^2}}\mathrm{cis}(-\tau\xi{x}) \right]_0^{\frac{T}{2}} \right)</math>
:<math>=\frac{2AT}{2}\mathrm{sinc}\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right) - \frac{2A}{T} \left\{ \frac{-\frac{T}{2}\tau\xi{i}+1}{\tau^2\xi^2}\mathrm{cis}\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)-\frac{1}{\tau^2\xi^2} + \frac{\frac{T}{2}\tau\xi{i}+1}{\tau^2\xi^2}\mathrm{cis}\left(-\frac{T}{2}\tau\xi\right) -\frac{1}{\tau^2\xi^2} \right\}</math>
:<math>=AT\mathrm{sinc}\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right) - \frac{2A}{T}\cdot\frac{\left(1-\frac{T}{2}\tau\xi{i}\right)\mathrm{cis}\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)+\left(1+\frac{T}{2}\tau\xi{i}\right)\mathrm{cis}\left(-\frac{T}{2}\tau\xi\right)+2}{\tau^2\xi^2}</math>
:<math>=AT\mathrm{sinc}\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right) - \frac{2A}{T}\cdot\frac{\left(1-\frac{T}{2}\tau\xi{i}\right)\left\{\cos\left(-\frac{T}{2}\tau\xi\right)+i\sin\left(-\frac{T}{2}\tau\xi\right)\right\}+\left(1+\frac{T}{2}\tau\xi{i}\right)\left\{\cos\left(-\frac{T}{2}\tau\xi\right)-i\sin\left(-\frac{T}{2}\tau\xi\right)\right\}+2}{\tau^2\xi^2}</math>
:<math>=AT\mathrm{sinc}\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right) - \frac{2A}{T}\cdot\frac{\left[\left\{\cos\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)+\frac{T}{2}\tau\xi\sin\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)\right\}+i\left\{\sin\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)-\frac{T}{2}\tau\xi\cos\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)\right\}\right]+\left[\left\{\cos\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)+\frac{T}{2}\tau\xi\sin\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)\right\}-i\left\{\sin\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)-\frac{T}{2}\tau\xi\cos\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)\right\}\right]+2}{\tau^2\xi^2}</math>
:<math>=AT\mathrm{sinc}\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right) - \frac{2A}{T}\cdot\frac{2\left\{\cos\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)+\frac{T}{2}\tau\xi\sin\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right) \right\}-2}{\tau^2\xi^2}</math>
:<math>=AT\mathrm{sinc}\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right) - \frac{2A}{T}\cdot\frac{2\left\{\frac{T}{2}\tau\xi\sin\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)+\cos\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)-1 \right\}}{\tau^2\xi^2}</math>
:<math>=AT\mathrm{sinc}\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right) - \frac{2A}{T} \left\{ T\frac{\sin\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)}{\tau\xi} - \frac{4}{\tau^2\xi^2}\sin^2\left(\frac{T}{4}\tau\xi\right) \right\}</math>
:<math>=AT\mathrm{sinc}\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right) - \frac{2A}{T}\cdot\frac{T^2}{2}\mathrm{sinc}\left( \frac{T}{2}\tau\xi \right) + \frac{2A}{T}\cdot \frac{T^2}{4}\mathrm{sinc}^2\left(\frac{T}{4}\tau\xi\right)</math>
:<math>=\frac{AT}{2}\mathrm{sinc}^2\left(\frac{T}{4}\tau\xi\right)</math>//
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{{NavTop|bgcolor=light-dark(#ccf,#223)|title='''1-1'''(別解)}}
<math>f(-x)=f(x)</math>より偶関数なので、フーリエ余弦変換を利用できる。
:<math>\text{ℱ}[f(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=2\int_0^\infty f(x)\cos(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=2A\int_0^\frac{T}{2} \left( 1-\frac{2|x|}{T} \right)\cos(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=2A\int_0^\frac{T}{2} \cos(-\tau\xi{x})dx - \frac{4A}{T} \int_0^\frac{T}{2} x\cos(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=2A \frac{\sin\left(-\frac{T}{2}\tau\xi\right)-\sin0}{-\tau\xi}-\frac{4A}{T}\left( \left[ \frac{x\sin(-\tau\xi{x})}{-\tau\xi} \right]_0^\frac{T}{2}- \int_0^\frac{T}{2} \frac{\sin(-\tau\xi{x})}{-\tau\xi}dx \right)</math>
:<math>=2A \frac{\sin\left(-\frac{T}{2}\tau\xi\right)}{-\tau\xi}-\frac{4A}{T} \left( \frac{\frac{T}{2}\sin\left(-\frac{T}{2}\tau\xi\right)-0\sin0}{-\tau\xi} - \left[ \frac{-\cos(-\tau\xi{x})}{\tau^2\xi^2} \right]_0^\frac{T}{2} \right)</math>
:<math>=2A \frac{\sin\left(-\frac{T}{2}\tau\xi\right)}{-\tau\xi}-2A \frac{\sin\left(-\frac{T}{2}\tau\xi\right)}{-\tau\xi}+\frac{4A}{T} \frac{\cos\left(-\frac{T}{2}\tau\xi\right)-\cos0}{\tau^2\xi^2}</math>
:<math>=\frac{4A}{T}\frac{\cos\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)-1}{\tau^2\xi^2}</math>
:<math>=\frac{2A}{T}\frac{\sin^2\left(\frac{T}{4}\tau\xi\right)}{\tau^2\xi^2}</math>
:<math>=\frac{AT}{2}\mathrm{sinc}^2\left(\frac{T}{4}\tau\xi\right)</math>//
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{{NavTop|bgcolor=light-dark(#ccf,#223)|title='''1-1'''(補足)}}
sinc関数は矩形波のフーリエ変換で得られるので、畳み込みの逆フーリエ変換が乗算であることから「矩形波の自己畳み込みが三角波」ということがわかる。
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{{NavTop|bgcolor=light-dark(#ccf,#223)|title='''1-2'''}}
:<math>\text{ℱ}[f(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=A\int_{-\frac{T}{2}}^\frac{T}{2} \cos^2\left(\frac{\pi{x}}{T}\right)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
<math>\cos x=\frac{\mathrm{cis}\,x+\mathrm{cis}(-x)}{2}</math>より<math>\cos^2x=\frac{\mathrm{cis}(2x)+\mathrm{cis}(-2x)+2}{4}</math>なので
:<math>=A\int_{-\frac{T}{2}}^\frac{T}{2} \left\{ \frac{\mathrm{cis}\left(\frac{2\pi{x}}{T}\right)+\mathrm{cis}\left(-\frac{2\pi{x}}{T}\right)+2}{4} \right\}\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=\frac{A}{4}\int_{-\frac{T}{2}}^\frac{T}{2} \left[ \mathrm{cis}\left\{\tau\left(\frac{1}{T}-\xi\right)x\right\} + \mathrm{cis}\left\{-\tau\left(\frac{1}{T}+\xi\right)x\right\} + 2\mathrm{cis}(-\tau\xi{x}) \right]dx</math>
:<math>=\frac{A}{4}\left( \left[ \frac{\mathrm{cis}\left\{\tau\left(\frac{1}{T}-\xi\right)x\right\}}{\tau\left(\frac{1}{T}-\xi\right)i} \right]_{-\frac{T}{2}}^\frac{T}{2} + \left[ \frac{\mathrm{cis}\left\{-\tau\left(\frac{1}{T}+\xi\right)x\right\}}{-\tau\left(\frac{1}{T}+\xi\right)i} \right]_{-\frac{T}{2}}^\frac{T}{2} + 2\left[ \frac{\mathrm{cis}(-\tau\xi)}{-\tau\xi{i}} \right]_{-\frac{T}{2}}^\frac{T}{2} \right)</math>
:<math>=\frac{A}{4} \left[ T\mathrm{sinc}\left\{ \frac{T}{2}\tau\left(\frac{1}{T}-\xi\right) \right\} + T\mathrm{sinc}\left\{-\frac{T}{2}\tau\left(\frac{1}{T}+\xi\right) \right\} + 2T\mathrm{sinc}\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right) \right]</math>
:<math>=\frac{AT}{4} \mathrm{sinc}\left(\pi-\frac{T}{2}\tau\xi\right) + \frac{AT}{4} \mathrm{sinc}\left(-\pi-\frac{T}{2}\tau\xi\right) + \frac{AT}{2} \mathrm{sinc}\left(\frac{T}{2}\tau\xi\right)</math>
:<math>=\frac{AT}{4} \mathrm{sinc}(\pi-\pi{T}\xi) + \frac{AT}{4} \mathrm{sinc}(\pi+\pi{T}\xi) + \frac{AT}{2} \mathrm{sinc}(\pi{T}\xi)</math>//
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{{NavTop|bgcolor=light-dark(#ccf,#223)|title='''1-3'''}}
:<math>\text{ℱ}[f(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x})dx</math>
:<math>=A\int_{-\infty}^\infty \exp\left(-\frac{|x|}{T}\right) \exp(-\tau\xi{xi})dx</math>
:<math>=A \left[ \int_{-\infty}^0 \exp\left\{\left(\frac{1}{T}-\tau\xi{i}\right)x\right\}dx+\int_0^\infty \exp\left\{-\left(\frac{1}{T}+\tau\xi{i}\right)x \right\}dx \right]</math>
:<math>=A\left( \frac{1-0}{\frac{1}{T}-\tau\xi{i}} + \frac{0-1}{-\left(\frac{1}{T}+\tau\xi{i}\right)} \right)</math>
:<math>=\frac{2A}{\frac{1}{T^2}+\tau^2\xi^2}</math>//
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{{NavTop|bgcolor=light-dark(#ccf,#223)|title='''1-4'''}}
<math>f(x)=\frac{A}{K}x</math>を複素フーリエ展開すれば周期関数のフーリエ変換を利用できる。
:<math>C_n=\frac{1}{K}\int_{0}^K f(x)\mathrm{cis}\left(-\frac{n\tau{x}}{K}\right)dx</math>
:<math>=\frac{A}{K^2} \int_0^K x\exp\left(-\frac{n\tau{x}i}{K}\right)dx</math>
:<math>=-\frac{A}{K^2}\left[ \frac{Kx}{n\tau{i}}\exp\left(-\frac{n\tau{x}i}{K}\right) + \frac{K^2}{n^2\tau^2} \exp\left(-\frac{n\tau{x}i}{K}\right) \right]_0^K</math>
:<math>=-\frac{A}{n\tau{i}}e^{n\tau{i}}-\frac{A}{n^2\tau^2}e^{n\tau{i}}+\frac{A}{n^2\tau^2}</math>
:<math>=\frac{A\left\{1-(1-n\tau{i})\mathrm{cis}(n\tau)\right\}}{n^2\tau^2}</math>
:<math>=\frac{Ai}{n\tau}</math>(<math>\because \mathrm{cis}(n\tau)=1</math>)
<math>n=0</math>のときは
:<math>C_0=\frac{1}{K} \int_0^K \frac{A}{K}xdx = \frac{A(K^2-0)}{2K^2}=\frac{A}{2}</math>
よって
:<math>f(x)=\frac{A}{2} + \sum_{n\in\mathbb{Z}_{\neq0}} \frac{Ai}{n\tau} \mathrm{cis}\left( \frac{n\tau{x}}{K} \right)</math>
周期関数のフーリエ変換より
:<math>\text{ℱ}[f(x)](\xi)= \frac{A}{2}\delta(\xi) + \sum_{n\in\mathbb{Z}_{\neq0}} \frac{Ai}{n\tau} \delta\left(\xi - \frac{n}{K} \right)</math>//
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{{NavTop|bgcolor=light-dark(#ccf,#223)|title='''2'''}}
周波数シフトの性質より
:<math>f(x)\mathrm{cis}(\tau\xi_0x)\leftrightarrow\tilde{f}(\xi-\xi_0)</math>
<math>\xi_0</math>を<math>-\xi_0</math>に置き換えて
:<math>f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi_0x)\leftrightarrow\tilde{f}(\xi+\xi_0)</math>
<math>\cos\theta=\frac{\mathrm{cis}\,\theta + \mathrm{cis}(-\theta)}{2}, \quad \sin\theta=\frac{\mathrm{cis}\,\theta-\mathrm{cis}(-\theta)}{2i}</math>とフーリエ変換の線型性より<math>\leftrightarrow</math>の両辺をそれぞれ足し引きして整理すると
:<math>f(x)\cos(\tau\xi_0x)\leftrightarrow\frac{1}{2}\{\tilde{f}(\xi-\xi_0)+\tilde{f}(\xi+\xi_0)\}</math>
:<math>f(x)\sin(\tau\xi_0x)\leftrightarrow\frac{1}{2i}\{\tilde{f}(\xi-\xi_0)-\tilde{f}(\xi+\xi_0)\}</math>
ここで、<math>f</math>が定数関数<math>f(x)=A</math>のとき、
:<math>A\cos(\tau\xi_0x)\leftrightarrow\frac{A}{2}\{\delta(\xi-\xi_0)+\delta(\xi+\xi_0)\}</math>
:<math>A\sin(\tau\xi_0x)\leftrightarrow\frac{A}{2i}\{\delta(\xi-\xi_0)-\delta(\xi+\xi_0)\}</math>
と求まる。//
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{{NavTop|bgcolor=light-dark(#ccf,#223)|title='''3'''}}
<math>\|\cdot\|</math>は<math>L^2</math>空間でのノルムを表すものとする。則ち、内積を<math>\langle f(x), g(x) \rangle := \int_{-\infty}^\infty f(x)\overline{g(x)} dx</math>として<math>\|f(x)\|=\sqrt{\langle f(x), f(x) \rangle}=\sqrt{\int_{-\infty}^\infty |f(x)|^2dx}</math>。<br>
<math>E(X)=0</math>より
:<math>D_0(f)=\int_{-\infty}^\infty x^2 |f(x)|^2dx = \int_{-\infty}^\infty |xf(x)|^2dx = \|xf(x)\|^2</math>
:<math>D_0(\tilde{f})=\int_{-\infty}^\infty \xi^2|\tilde{f}(\xi)|^2d\xi = \int_{-\infty}^\infty |\xi\tilde{f}(\xi)|^2d\xi =\|\xi\tilde{f}(\xi)\|^2</math>
ここで、<math>\xi\tilde{f}(\xi)</math>の逆フーリエ変換を考える。<br><math>\frac{d}{dx}f(x)\leftrightarrow [ f(x)\mathrm{cis}(-\tau\xi{x}) ]_{-\infty}^{\infty} + \tau\xi{i}\tilde{f}(\xi)</math>であるが仮定より<math>f</math>は絶対連続且つ<math>f, f' \in L^2</math>なので<math>\lim_{|x|\to\infty}f(x)=0</math>を満たし<math>\left(\because (|f|^2)' = 2\mathrm{Re}(f\overline{f}) \in L^1 \land |f|^2 \in L^1 \right)</math>、境界項が消えるので<math>\frac{d}{dx}f(x)\leftrightarrow \tau\xi{i}\tilde{f}(\xi)</math>、則ち<math>\xi\tilde{f}(\xi)\leftrightarrow \frac{1}{\tau{i}}\frac{d}{dx}f(x)</math>。<br>
よってプランシュレルの定理より
:<math>D_0(\tilde{f})=\|\xi\tilde{f}(\xi)\|^2=\left\|\frac{1}{\tau{i}}\frac{d}{dx}f(x)\right\|^2=\frac{1}{\tau^2}\left\|\frac{d}{dx}f(x)\right\|^2</math>
故に、示すべき不等式は
:<math>\|xf(x)\|^2 \left\|\frac{d}{dx}f(x)\right\|^2 \geq \frac{1}{4}</math>
である。<br>
仮定より<math>1=\int_{-\infty}^\infty |f(x)|^2dx</math>であるが、右辺を部分積分すると<math>xf(x), \frac{d}{dx}f(x)\in L^2</math>より<math>\lim_{|x|\to\infty}|f(x)|^2=0</math>なので境界項が消えて
:<math>1=-\int_{-\infty}^\infty x\frac{d}{dx}|f(x)|^2dx</math>
:<math>=-2\mathrm{Re}\left( \int_{-\infty}^\infty xf(x)\overline{f'(x)} dx \right)</math>
両辺の絶対値をとると
:<math>\frac{1}{2} = \left| \mathrm{Re}\left( \int_{-\infty}^\infty xf(x)\overline{f'(x)} dx \right) \right| \leq \left| \int_{-\infty}^\infty xf(x)\overline{f'(x)} dx \right| = |\langle xf(x), f'(x) \rangle|</math>
ここで、コーシー=シュワルツの不等式より内積の絶対値はノルムの積以下の値をとるので
:<math>|\langle xf(x), f'(x) \rangle| \leq \|xf(x)\| \|f'(x)\|</math>
よって
:<math>\frac{1}{2} \leq \|xf(x)\| \|f'(x)\|</math>
両辺を二乗しても大小関係は変わらないので
:<math>\frac{1}{4} \leq \|xf(x)\|^2 \|f'(x)\|^2</math>
これで示された。//
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{{NavTop|bgcolor=light-dark(#ccf,#223)|title='''3'''(補足)}}
等号成立の場合を調べてみる。
:<math>\frac{1}{2}=\left| \mathrm{Re}\left( \int_{-\infty}^\infty xf(x)\overline{f'(x)} dx \right) \right| = \left| \int_{-\infty}^\infty xf(x)\overline{f'(x)} dx \right| = |\langle xf(x), f'(x) \rangle|=\|xf(x)\| \|f'(x)\|</math>
CS不等式で等号のとき、
:<math>|\cos\theta|=1 \iff \theta=0^\circ, 180^\circ \iff</math>一次従属
:<math>\therefore f'(x)=\lambda xf(x)\quad (\lambda\in\mathbb{C})</math>
また、2, 3項目より<math>\langle xf(x), f'(x) \rangle \in \mathbb{R}</math>なので<math>\lambda = c \in \mathbb{R}</math>であり、微分方程式
:<math>f'(x)=cxf(x)</math>
を得る。これは変数分離形なので
:<math>\frac{df}{f(x)}=cxdx</math>
:<math>\ln|f(x)|=\frac{c}{2}x^2+A</math>
:<math>f(x)=\pm e^{A}e^{\frac{c}{2}x^2}</math>
ここで、<math>f \in L^2</math>より<math>c<0</math>が課される。<br>
よって、不確定性関係で等号成立の場合はガウス型関数<math>f(x)=Ce^{-ax^2} \quad(C\neq0, a>0)</math>であることが分かる。
フーリエ変換の固有関数と異なるのは、ガウス関数の裾の広がり方を定める正数<math>a</math>の値が一つに定まらないことである。
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{{NavTop|bgcolor=light-dark(#ccf, #223)|title='''4'''}}
:<math>R(\chi)=\int_{-\infty}^\infty f(x)\overline{f(x+\chi)} dx</math>
<math>f(x)</math>を逆フーリエ変換表記して
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \left( \int_{-\infty}^\infty \tilde{f}(\xi)\mathrm{cis}(\tau\xi{x})d\xi \right) \overline{\left( \int_{-\infty}^\infty \tilde{f}(\zeta) \mathrm{cis}\{\tau\zeta(x+\chi)\} d\zeta \right)}dx</math>
フビニの定理を用いて<math>x\to\zeta\to\xi</math>の順に積分すると<sup>※</sup>
:<math>=\iiint \tilde{f}(\xi)\overline{\tilde{f}(\zeta)}\mathrm{cis}\{\tau(\xi-\zeta)x\}\mathrm{cis}(-\tau\zeta\chi)d\xi d\zeta dx</math>
:<math>=\iint \tilde{f}(\xi)\overline{\tilde{f}(\zeta)}\mathrm{cis}(-\tau\zeta\chi) \left(\int_{-\infty}^\infty \mathrm{cis}\{\tau(\xi-\zeta)x\} dx\right) d\xi d\zeta</math>
:<math>=\iint \tilde{f}(\xi)\overline{\tilde{f}(\zeta)}\mathrm{cis}(-\tau\zeta\chi) \delta(\xi-\zeta) d\xi d\zeta</math>(<math>\because1</math>のフーリエ変換)
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \tilde{f}(\xi)\overline{\tilde{f}(\xi)}\mathrm{cis}(-\tau\chi\xi)d\xi</math>(<math>\because</math>デルタ関数の3番目の性質)
:<math>=\int_{-\infty}^\infty |\tilde{f}(\xi)|^2\mathrm{cis}(-\tau\chi\xi)d\xi</math>
よって<math>R(\chi)\leftrightarrow W(\xi)</math>//
※積分領域は自明なので省略した。
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==フーリエ変換の応用==
;確率密度関数のフーリエ変換が特性関数
;ナイキスト=シャノンの標本化定理
<math>|\xi|<\xi_m</math>であるとする。この<math>\xi_m</math>を'''最高周波数'''といい、元信号<math>f(x)</math>は<math>\xi_m</math>で'''帯域制限'''されているという。
元信号を間隔<math>T</math>で'''標本化'''('''サンプリング''')することを考える。[[高等学校情報]]で扱ったように、標本化とは「連続的な量からある基準に従って離散的な値を取り出す」ことである。
ここで、間隔<math>T</math>で標本化するとは、「間隔<math>T</math>で非零の点が現れるように関数を変形する」ということである。そこで、「引数が<math>0</math>のときのみ非零、それ以外では<math>0</math>である」デルタ関数を用いることを考える。デルタ関数が間隔<math>T</math>で非零であるということは、<math>\delta(x-T)=\delta(x-2T)=\cdots=\delta(x-nT)\neq0</math>が成り立つということである。
よって、標本化を数式で表すと以下のようになる。
:<math>f_s(x)=\mathrm{I}\!\mathrm{I}\!\mathrm{I}_T(x)f(x)</math>
:但し<math>\mathrm{I}\!\mathrm{I}\!\mathrm{I}_T(x)=\sum_{n=-\infty}^\infty \delta(x-nT)</math>
<math>f_s(x)</math>を'''標本化波関数'''、<math>\mathrm{I}\!\mathrm{I}\!\mathrm{I}_T(x)</math>を'''ディラックの櫛型関数'''('''{{中付きルビ||Ш|シャー}}関数''')という。
なお、Ш関数は「周期<math>T</math>の一様なインパルス列」とも捉えられる。
Ш関数のフーリエ変換を考える。
:周期関数のフーリエ変換と周波数スペクトルのフーリエ変換を組み合わせて
:<math>\text{ℱ}\left[\mathrm{I}\!\mathrm{I}\!\mathrm{I}_T(x)\right](\xi)=\sum_{n=-\infty}^\infty \mathrm{cis}(-n\tau{T}\xi)</math>
ここで、以下の等式が成り立つことが知られている(証明略)。
:<math>\sum_{n=-\infty}^\infty \mathrm{cis}(-n\tau{T}\xi)=\frac{1}{T}\sum_{n=-\infty}^\infty\delta(\xi-\frac{n}{T})</math>
これを用いて、標本化波のフーリエ変換を考える。
:畳み込みの逆フーリエ変換より
:<math>\text{ℱ}[f_s(x)](\xi)=\int_{-\infty}^\infty \tilde{f}(\xi-\zeta)\left(\sum_{n=-\infty}^\infty \mathrm{cis}(-n\tau{T}\zeta)\right)d\zeta</math>
:<math>=\int_{-\infty}^\infty \tilde{f}(\xi-\zeta)\left(\frac{1}{T}\sum_{n=-\infty}^\infty\delta\left(\zeta-\frac{n}{T}\right)\right)d\zeta</math>
:<math>=\frac{1}{T}\sum_{n=-\infty}^\infty \left(\int_{-\infty}^\infty \tilde{f}(\xi-\zeta) \delta\left(\zeta-\frac{n}{T}\right)d\zeta\right)</math>
:<math>=\frac{1}{T}\sum_{n=-\infty}^\infty \tilde{f}\left(\xi-\frac{n}{T}\right)</math>
よって、標本化波の周波数スペクトルは間隔<math>\frac{1}{T}</math>で現れる。元信号は帯域制限されているので、スペクトルの幅は<math>2\xi_m</math>である。このとき、周波数間隔<math>\xi_s:=\frac{1}{T}</math>を'''標本化周波数'''('''サンプリング周波数''')という。
標本化波の周波数スペクトルから元の波を復元するためには低域通過フィルタ(ローパスフィルタ、LPF)が用いられる。単位時間当たりの情報量を削減できるので標本化周波数が低ければ低いほど望ましいが、周波数スペクトル同士が重なってしまうと歪みが生じるので復元ができない(折り返し雑音)。
そこで、歪まない最低の標本化周波数を求めたい。周波数スペクトルが重ならない且つ幅が最大であるようなとき、周波数スペクトル同士は互いに一点で接している。このとき、<math>\xi_s=2\xi_m</math>である。則ち、<u>不等式<math>\frac{\xi_s}{2}\geq\xi_m</math>が成り立つことが、元信号復元の条件</u>である。
これを'''ナイキスト=シャノンの標本化定理'''('''サンプリング定理''')という。
なお、<math>\frac{\xi_s}{2}</math>を'''ナイキスト周波数'''という。
;線形システムのインパルス応答
;雑音解析
;離散時間フーリエ変換
;離散フーリエ変換
;高速フーリエ変換
;ウェーブレット変換
;短時間フーリエ変換
;離散余弦変換
==一般化==
;分布論
;分数次フーリエ変換
;多次元フーリエ変換
;フーリエ・スティルチェス変換
;フーリエ–ドリーニュ変換
;フーリエ–向井変換
;フーリエ–佐藤変換
;ポントリャーギン双対
==参考文献==
森北出版『通信方式』第二版 滑川敏彦ほか 2012年
[[Category:解析学]]
[[Category:フーリエ解析]]
37xl13i48d5hqif1dktzkgv538l1rfk
野球/変化球/ナックルカーブ
0
48151
300210
299983
2026-06-07T00:39:51Z
~2026-33535-00
91697
/* 特徴 */
300210
wikitext
text/x-wiki
ナックルカーブ(Knuckle Curve)とは、カーブより強い回転を与えるために、ナックルの握り(指を立てる)を使って投げる高速カーブで、球速が速く、かつ落差が大きく、キレが鋭いという特徴を持つ球種です。
==特徴==
[[ファイル:Knuckle curve 1.JPG|サムネイル|ナックルカーブの握り]]
トップスピン
*指を立てることで回転が強くなり、カーブより鋭く落ちます。
球速が速い
*120~130km/h程度で、スライダーに近いスピード感があります。
縦変化
*横変化は少なく、真上から真下に落ちるタイプが多いです。
==投げ方==
握り方
*人差し指を立て(または折り曲げ)、中指を縫い目に深くかけ、親指でボールの下を支えます。
リリース
*手首を強くひねりすぎず、中指で弾くように回転を与えます。
==戦略==
[[野球/変化球/パワーカーブ#戦略]]を参考。
==弱点==
握りが特殊
*指を立てる(または折り曲げる)ことに慣れるまで制球が安定しにくいので、取得が難しいです。
==変化球==
{{変化球マップ}}
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[[Category:野球]]
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野球/先発投手
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Shokupan
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小見出し化
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wikitext
text/x-wiki
先発投手は、試合開始時にマウンドに立つ投手で、チームの試合展開を大きく左右する重要な役割です。
相手打線を抑え込み、味方打線が得点するまで試合を安定させることが重要です。
== 重要性 ==
先発投手は特に以下の点が重視されます。
=== 立ち上がり ===
*序盤で大量失点すると試合全体が苦しくなるので、初回から集中力が求められます。
=== 球数管理 ===
*長いイニングを投げるために、四球を避け、効率的にアウトを重ねる必要があります。
=== 対応力 ===
*打者との駆け引き、試合中の調整力が勝敗を左右します。
== 必須要素 ==
=== 球種の多様性 ===
*速球だけでなく、変化球を組み合わせることで、打者を翻弄出来ます。
*球種の組み立てが上手なほど、長いイニングを投げられます。
=== スタミナ ===
*試合中盤以降も球威を維持するには、体力とペース配分のが必要です。
=== メンタル ===
*失点やピンチの場面でも冷静さを保ち、状況を立て直す精神力が必須です。
== 関連項目 ==
*[[野球/投手]]
*[[野球/中継ぎ投手]]
*[[野球/抑え投手]]
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[[Category:野球]]
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トーク:道路交通法第27条
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/* 解説についての質問 */ 新しい節
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wikitext
text/x-wiki
== 解説についての質問 ==
; 最高速度
: 道路交通法第22条に最高速度の規定のない軽車両については、義務を規定していない。
; できる限り道路の左側端に寄つて
: 左側端に寄っても追い越せないような狭い道路や工事など、道路の状況その他の事情で譲ることが困難な場合を除く。また、軽車両は原則道路の左側端を通行しており、その時点で義務を遂行している。
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27条の解説に、上記の記述がありますが、「道路交通法第22条に最高速度の規定のない軽車両については、義務を規定していない。」というのは、27条のどこに記述がありますか?
順当に考えれば、道路交通法第22条の最高速度に「車両」と記述があるのですから、27条で規定している最高速度についても「『車両(軽車両を含むすべての車両)』に適用されるものだ」と意味を取るべきだと思います。
つまり、22条に記述があるのですから、27条の適用範囲に自転車も含まれていると思うのですが、なぜ「道路交通法第22条に最高速度の規定のない軽車両については、義務を規定していない。」となるのでしょうか?--[[特別:投稿記録/~2026-33602-34|~2026-33602-34]] ([[利用者・トーク:~2026-33602-34|トーク]]) 2026年6月7日 (日) 10:22 (UTC)
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